第6夜
「長年の経験からすると、これは通常の殺人事件とは明らかに異なる。被害者のご遺体がまるで風船のようだというのがまともじゃない」
元刑事があくまでも個人的な感想ではあるが、と間を置いて始めた話であるが、その内容はまた奇異なものであった。
かって百年ほど前のフランンスにおいて『肉袋殺人事件』という猟奇的な殺人事件が起こったことがある。
イタリアからの3人の若い女性旅行者が突然行方不明となり、2週間後に3人の遺体が発見された。遺体には外部損傷がなく、全ての内蔵のみ抜き取られていたという。
当時、フランスでは内蔵を抜かれた死体を『まるで中身のない肉袋』と表現した三流新聞社の記者の発言がそのまま事件の俗称となっていた。
この『肉袋殺人事件』は20年に渡るフランス警察を挙げての必死の捜査に関わらず、未だ犯人の確定には至らず、未解決の猟奇殺人事件として世界犯罪史に暗い影を落としている。
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