第7夜

 事件に関する説は様々あったが『吸血鬼による殺人』なども最も有力な説として、まことしやかに報道された事件である。


 元刑事はこの肉袋殺人事件と今回の風船人形事件の類似性を唱え、妖奇な事件としての可能性も暗に示唆していた。


 この元刑事の発言により『風船人形』と『肉袋殺人』、2つの事件の比較がマスコミでも大きく取り上げられ、当然、夢人の耳にも入ってきていた。


 独りっ子であった夢人が両親を失ったのは4歳の時である。突然、天涯孤独となった夢人の人生を救ったのは、母方の祖母と母親と6歳違いの24歳の妹であった。


 祖母は、夢人たち家族と同じ市内で喫茶店を営んでいた。もともと娘2人と3人の母子家庭であったため、娘たちが嫁いだ後、喫茶店は祖母の代で終えることを覚悟していた。


 姉である夢人の母親は、祖母の予想通り21歳で結婚をして家を出ていった。一方、妹は姉の結婚を期に店を継ぐ意志を示していた。


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