第59夜
腕時計の針は24時を過ぎていた。強い陽射しに灼かれた路面が夜の空気を熱している。日曜の深夜のせいか、走り去る車も少ないようだ。
喫茶店を閉店時間の21時30分には閉めて、3人で後片付けを済ませ、夢人は大学の友人に呼び出され、ファーストフードレストランでつい先程まで話をしていた。
友人と別れ、自転車で多摩地区を東西に走る五日市街道から右折し大山通りに入り、国営公園北通りにある自宅の喫茶店に向かう。
五日市街道と国営公園北通りを南北に繋ぐ大山通りは暗く家影も少ない。進行方向の先には闇の中に巨大な大山団地が寝静まっている。
国営公園北通りは4車線とゆったりした路肩、さらには広い歩道もある大きな道路である。街路灯も設置され青白い明るさは保たれているものの、夜間は行き交う車も少なく人通りも疎らである。
夢人が乗る自転車の頼りなげなライトが闇を切り裂いていく。蒸暑ささえ忘れてしまいそうな不安気な大山通りをゆっくりと走る。
魔界千夜 希藤俊 @kitoh910
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