第29夜

 「しかし統括、ホシの当てもないし、どこから手をつけりゃいいんですかね。当てもなく都内をアミかけしても、時間の無駄になるだけでしょう」


 「平井班長、何かいい策は無いものかな?」


 「中原統括、自分は初めからこのヤマはまともじゃないと考えています」


 「まともじゃないって、どういうことか?」


 「俺たち調整が扱うヤマですから、普通じゃないのは当然ですが、ホトケの状態見てもどうも人間業じゃないって考えているんです」


 「平井、人間業じゃないっていうのはどういう意味だ?」


 「統括に笑われるかもしれませんが、以前にテレビに出ていた元デカが言ってたように、人間ではない何か化物がかんでるんじゃないか、そんな気がしてならないんです」


 「化物か、何かウラでも取れてるのか?」


 「いやウラが取れた訳じゃないんですが、自分の友人の母親が変わった仕事をやってまして」


 「ほう、何の仕事やってるんだ?」

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