第3夜

 「被害者はどんな状態だったんですか?」


 「いや、まあ普通の亡くなり方ですよ」


 「普通?殺害方法は何だったんですか?」


 「いや殺害の方法って言っても・・・・・」


 支店長の歯切れが悪い。警察当局からあまり余計な話はしないようにとの強い指示があったからだ。


 「凶器は何ですか?刃物で刺されたとか?何かで殴られたとか?」


 「いや、私もよく分からないんですよ」


 「よく分からないって、おかしいでしょう。あなたが発見者ですよね、我々は見たままの事実を聞いてるんですよ」


 「いや確かに発見者は私なんですが、ちょっとおかしな感じだったので」


 「おかしいって、どういうことですか?警備員の死因は何ですか?」


 「まるで、まるで風船みたいな・・・・」


 「何ですか?その風船みたいなって?」


 支店長は顔色を変えた。明らかに言ってはならない事を口に出してしまったようだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る