第30夜

 「実は友人の母親は『祓い屋』をやってるんです。呪いとか祟りなどの穢れを祓う職業で、その世界じゃあ有名な人物らしいんです」


 「お祓いか、また随分と非科学的な話だな」


 「自分も初めは話半分で聞いていたんですが、友人の話では銀行のヤマをほとんど完全に予言していたと言うんです」


 「平井班長、その予言って何ですか?」


 「母親が銀行のヤマが起こる何日か前に、犯行日も場所も犯行内容も友人に話していたらしいんだ。俺はその話を聞いて、冗談だろうと思っていたんだが、先日、友人の家で偶然母親とメン合わせた時、また別の話を聞かされたんだ」


 「班長、それっていつ頃の話ですか?」


 「先週の水曜日だ。その時に母親が俺に『磁場が迷動している。歪が開き穢れがまた現れる』って訳が分からないこと言い出したんだ。まあ適当に聞き流していたんだが・・・・・」


 「平井、その穢れとかが現れるっていうのは何時だったんだ?」

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