第13夜

 「あらユーちゃん、起きちゃったの?お腹空いちゃったでしょう。ちょっと待ってね、今、何か食べるもの作ってあげるから」


 「バアちゃん、ありがとう。カレーが食べたいな、それから浅子姉さん、母さんの事件と今回の風船人形事件は、俺は同じ種類の事件だと思うよ」


 「あらユーちゃん、同じ種類の事件ってどういう意味かしら」


 夢人は19歳、都内有名私大の1年生になる。高校3年であった昨年、両親の死亡事故について長く口を閉ざしていた祖母と叔母の態度を怪しく思い、2人を問い詰め事件の概要を聞き出していた。


 夢人を傷つけまいと、事実を隠していた京子と浅子であったが、異常な事実を聞いた夢人は

思いの外大きな動揺を見せることはなかった。


 「確かに俺の母親と父親だったのかもしれないけど、まだ小さな俺にとっては、バアちゃんと浅子姉さんの方が大事な家族だったから、悲しいことではあったけど、あまり実感はなかったんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る