第45夜

 「その当時の神奈さんの御報せ、いや予言は警視庁には連絡をいただいたのでしょうか?」


 「今の平井くんのような知り合いがいたわけじゃないから、概ねの日時と事件発生の可能性を電話で連絡したのだけど、まったく相手にしてくれなかったわ。残念だけど・・・・・」


 「そうでしたか?たぶん電話に出た者が、悪戯電話等と勘違いしてしまったのかもしれませんね。本庁内部の資料にも全く残ってはいませんから」


 「しょうがないのよね。私たちの言葉なんか何の根拠も証拠もないのだから」


 「いや事件に関する都民の皆さまからの貴重なご意見やご一報は、必ず記録に留めるようにしているのですが、申し訳ございません」


 「いいのよ平井くんのせいじゃないもの。それにあの当時の私自身も、今ほど明確にイメージできていたわけではないから。ただ地球上ではあり得ない、何か恐ろしいものが迫っているという感覚を私なりに伝えたかっただけなの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る