第16夜

 「そうだね。夕子や克也さんがあんな哀しい事件で亡くなってしまったけど、もし宇宙人が犯人だとしたら、少しは諦めがつくのかもしれないわね」


 「そうよ、母さん。一番哀しんでいるユーちゃんがそう考えてるんだとしたら、母さんや私がいつまでもあの事件のことを引きずっていちゃいけないのよね」


 「そうだよ。確かに哀しい事件だったけど、俺には大事なバアちゃんも浅子姉さんも側に居てくれてるんだから、もうそろそろあの事件のことは忘れてほしいな」


 「分かったわよ。ユーちゃんがそう言ってくれるなら、私も浅子もうなるべく気にしないようにするわ。でも今度のお休みには、3人でお墓参りに行きましょうね」


 「ほら、母さん。話に夢中になっちゃって、ユーちゃんのカレー忘れちゃってるわよ。ユーちゃん、徹夜明けで昼頃に帰ってきてからずっと寝てたから、今日はまだ何も食べていなんだから」


 「ユーちゃん、ごめんね。急いで作るから」

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