第27夜

 銀行支店の警備員殺人事件の『風船人形事件』、そして新たに起こった新興住宅地での若い女性が被害者となった『風船人形事件2』でマスコミも社会も大騒ぎとなっていた。


 土曜日の朝方に発見された新たな風船人形は、やっと収まりかかっていた異妖な事件を全ての国民に思い出さていた。


 未だに証拠1つも見つけられない警視庁への非難は激しく、国会でも野党からの質問に総理大臣が答弁に窮する場面が報道されたほどである。


 警視庁では総監からの組織を上げての徹底的な捜査が指示されたのは言うまでもない。特に総監直属の特務機関である調整担当には、トップの警視正、2人の班長である警視、さらには6人の警部の9人に総監から直接の檄が飛んだ。


 調整担当は総務部企画課内にある科学的捜査で解明出来ない特殊警務を担っている。この調整担当が行う任務を知っているのは警視庁内の各部長までであり、通称『妖務担当』などと呼ばれている。

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