第7話 黒ビキニしか勝たん
そんなこんなで俺は今日渡辺と一緒に水着を買うことになったわけだ。
楽しみすぎて夜しか眠れなかったよ。まったく。
「お待たせ~! 待った?」
渡辺は上は黒のノースリーブ。
下はショートパンツの姿で現れた。
刺激が強い!! The Gyaru!!
「俺も今来たところだよ」
お決まりのセリフを言い平静を装う。
もちろん俺のハートはバクバクだ。
「じゃ、行こ♪」
ウキウキの渡辺。
「周くんと買い物めっちゃ楽しみにしてたんだ~」
「ほんと? 実は俺も……夜しか眠れなかったわ」
「何それ~超爆睡してんじゃん~♪」
そんなくだらない会話をしながらエスカレーターを上がっていく。
途中渡辺の脚をチラチラ見たことは秘密にしてもらいたい。
しょうがないよね、だって男の子だもん!
周りの視線が熱い……そりゃそうだ、だってこのデパートの中で露出度が一番高いんだから。
そんなことは露知らず、平然と歩みを進めていく渡辺。
目的の水着売り場は3階にある。
まぁ、今日は水着を買いに来ただけだし、遅くても1時間で終わるだろう。
そのはずだった。
「ねぇ~ねぇ~このアクセめっちゃ可愛いくない!? 買っちゃおうかな~♪」
今俺たちは、アクセサリーショップ屋に来ている。
女性は買い物に時間をかけると言うが、想像以上だ。
先ほど合流してからすでに1時間30分が経過している。
もちろんまだ水着売り場にすらたどり着いていない……。
「う~ん……」
「周くんはどっちがいい~?」
微笑みながら訊いてくる渡辺。
掌に見せてきたのは、ピアスだ。
花柄のものとフックと迷っているらしい。
「そうだなぁ、どっちも可愛いと思うけどフックがいいかな~、渡辺、大人っぽいし」
正直どっちも似合うが、素直な感想を伝えた。
たぶん、今の俺の顔は真っ赤に染まっていることだろう。
何言ってんだ俺……。
「そ、そう? じゃあフックにしよっと」
小走りでお会計へ向かう渡辺。
少し顔を赤らめていたような?
気のせいだろうか……。
その後、俺たちは、新しいイヤホンや、洋服など見た後、目的である水着売り場へ。
すでに待ち合わせをしてから3時間が経過しています。
ちなみに俺のライフはもうゼロです。
「水着めっちゃ沢山ある~、何にしよっかな~?」
すぐさま女性用の水着売り場へウキウキと走り出す。
俺は、もちろん男性用の水着売り場へ。
デザインなどどうでもよかったので、一番安くて無難なものを手に取る。
「これでいいかな?」
6,980円……、値段のラベルを見て驚愕した。
水着って1年で1回しか着ないのになんでこんなに高いんだろうか……。
永遠の疑問である。
「周くん~きてー!」
遠くから渡辺が呼んでいる。何かあったのだろうか。
周りを気にしながら女性水着売り場へ。
「どうしたー?」
声がする方へ向かうと渡辺さんが水着を両手に持ってにこやかに立っていた。
右の手にはショートパンツタイプの水着。
左の手には黒のビキニタイプの水着。
「周くんはどっちの水着が好み?」
究極の選択きたああああああああああああああああああああああ
まさしく金の斧 銀の斧状態だ。
正直どっちも可愛い……が……。
答えは決まっている。
「やっぱり黒ビキニかな~」
黒ビキニ来てる渡辺が見たい!!!!
そうだろみんな! そうだよな! ギャルと言ったら分かるよな!
ショートパンツタイプの水着が悪いんじゃない。黒ビキニの破壊力がいけないんだ。
「じゃあ、試着してみるね♪ すみませーん!」
見るまでもないが、一応! 一応見ておくとしよう。
試着室から布が擦れる音が聞こえてくる。
ものすごくドキドキする。
「じゃーん! どう?」
カーテンが開かれ、水着姿が姿を現す。
凄まじい破壊力だった。細い脚と腕に整った顔立ち。まさしく渡辺に着てもらうために作られたような水着と言っていい。
はい! 可愛い! やっぱり見るまでもなかった!
100点です。文句なし! ギャルにはやっぱり黒ビキニしか勝たん!
この姿に文句言うやつがこの日本に、いや世界にいるのだろうか。
俺は無言でグーサインを渡辺に向けた。
「やった♪」
笑顔を浮かべる渡辺。
それにしても……。
制服の時は気づかなかったが、やっぱり大きい……。
見てはいけないと分かってはいても目線が胸に吸い寄せられてしまう。
「周くん、いま、おっぱい見てたでしょ!」
「えっ!? あっ、いや……」
「もーエッチ……」
胸を両手で隠しながらプクっと頬を膨らませる渡辺。
「いやいや、誤解だ! あまりにも水着が似合ってたから見惚れてて……」
とっさに言い訳をする。
いかんいかん……さすがに男としてよくない。今度から気を付けなくては……。
「ほんと~? まぁ、似合ってるならいっか! じゃあこれにしまーす!♪」
スタスタとお会計へ。
それにしても凄まじい破壊力だった。あの水着を見たクラスメイトはどんな反応をするだろう。
恐らくだが男子生徒は鼻血を出してぶっ倒れること間違いない。
ふと、渡辺と店員の会話が耳に入る。
「こちらサイズはこちらでよろしいでしょうか?」
「大丈夫です!」
何の躊躇もなくお財布から1万円札を取り出す渡辺。
「1点で1万円になりまーす!」
「たかっ!」
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