034 作戦会議
冷静に考えた結果、外部への連絡手段が思いつかないため、安達との連携は不可能である。ならば、プレイヤーとしてベストを尽くすまで。つまり、ハッピーエンドを目ざす。それがいちばんの解決策ではないだろうか。否、正直なところ、エンディングを迎えたとき、なにが起こるかわからない。まったくわからないからこそ、やってみる価値があるはずだ。
「まさかこの俺が、クソゲーの攻略を
もっとも、やるべきことがはっきりしたせいか、気分はそこまで悪くない。せいぜい、ゲームオーバーとバッドエンド的な結末は避けたい。現在、[仲間のきずな]のアイテム効果により、俺には(勧誘した)味方がひとりいる。見た目は子どもだが、言動は落ちついており、頼もしい
「……おはようございます、ブレイクさん。……すみません、ぼく、寝坊しましたか?」
むくりと上体を起こす少年は、先に
「ちがうよ。まだ早朝だ。眠けりゃ、ゆっくりして構わないぜ」
「そ、そうでしたか……。でも、目が覚めたので起きます」
キルクスはベッドからおりると、備え付けのタオルを手にして廊下へでた。通路のとちゅうに、誰でも使える水道が設置されている(俺も顔を洗ってきた)。朝食は宿代に含まれていないため、空腹を満たす場合、別料金が発生する。
さて、これからの件だが、まず、レベル上げをしたいというキルクスに付き合うため、前衛タイプの俺は武器を強化したほうがいい。後方支援タイプのキルクスには、俺が大ダメージを受けてもすぐ回復できるよう、即効性のあるアイテムの所持数を増やしておけば準備万全だ。朝ごはんを食べたら、道具屋に足を運び、装備を
「まるでアクション映画に出演する俳優みたいだぜ」
さながら、キルクスは
担当マネージャーか?
この撮影は、いつ終わるのか
現在の状況を客観視すると、つい、笑みがこぼれた。そこへ、洗顔を終えたキルクスが戻ってくる。俺が「作戦会議をしよう」と切りだすと、真剣な表情で「はい」と返事した。端的に説明する。
「……ってな感じで、どうかな」
「はい、いいと思います」
「オーケー。
『いらっしゃい。じっくり見ていっておくれ』
道具屋では、NPCの女店主が笑顔であいさつしてきた。
✓つづく
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