031 余りもの
体育や理科の実験、あるいはペアでなにかをする必要があるとき、「今からふたりひと組になれ~」と、学校の先生は軽くいう。2の倍数で必ず割り切れる生徒数のクラスであっても、欠席者がいると
給食の時間も好きではなかった。俺の経験では、小学校も中学校も机を向かい合わせにして食べていたが、きらいなやつがとなりの席だった場合、楽しいはずのランチタイムが、地獄に感じる。気まずい状況のなかで食事をすると、消化に悪いような気がした。
俺がきらいなやつは、相手も俺のことがきらいなんだろうと思う。というより、いつの間にかそいつの地雷を踏んでしまい、一方的に無視される。
頭のいいやつは、単純に俺を困らせたかっただけだろうが、結果的に家庭環境にまで悪影響を
フラッシュバックに頭を悩ませている場合ではない。俺は今、ゲームのなかで[キルクス]を
「キルクス、俺の本音をいうと[仲間のきずな]を使って、味方をつくりたいだけだ。いきなり誘っても、初対面の人間を信用できないのはあたりまえだよな。今夜は宿屋に泊まるだろう? まずは、
すっかり沈黙してしまった少年に、俺は
「考え込んでしまい、すみません。ぼくなんか体力ないですし、足手まといに感じるかも知れませんが、それでもよければ、ごいっしょさせてください」
「そう不安がるなって。俺も自信がないから協力を必要としているんだ。せっかくの機会だし、もっとゲームを楽しもうぜ」
キルクスは、ふたつある指輪の小さいほうを受け取り、左手の薬指につけた。……念のため、俺も同じ指につけておく。すると、ぴったり
「キルクス、改めて、よろしく頼む」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします!」
✓つづく
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