011 レンドは、どこだ
めずらしく、
さっき確認した俺は、プログラムの不具合について説明されたが、はっきりいってよくわからない分野だし、詳しい報告を受けたところで、俺に返す言葉はない。開発チームと勝手にやってくれといった感じで、会議に加えてほしいとは思わない。
ひとまず、原因は調査中とのことだが、通常にゲームをプレイするぶんには問題ないらしい。見れば、早速プレイヤーがリージョンをうろついている。俺の担当は中盤に位置する通過点だが、細かなイベントが用意されているため、攻略するまでに要する時間はそこそこ長い。もっとも、勇者イベントのフラグを
「
俺も関係者という立場ではなかったら、このゲームを小銭目的でやっていたかもしれない。各リージョンには、
「とくに、バグの影響はないみたいだな」
安達との通話後、俺は専用キャラクターの[ブレイク]を
きょうも朝からプレイヤーがリージョンにやってくる。それぞれ自由に探索しているが、俺の目は、つい[レンド]を探した。魔法タイプのキャラクターは、ほとんどローブ姿をしているため、見つけやすい。
「いないか。この時間は学校か、仕事中か?」
プレイヤーの私生活は、さすがに調べることはできない。現実に存在するという情報以外、知るすべはない。ゲーム内で親しくなり、会話を通じてある程度の個人情報は入手可能ではあるが、1人用のゲームを楽しむ連中は、わずらわしい交流を
「レンドは前回、勇者イベントの最中にゲームオーバーになっちまったから、また俺の前にあらわれるとしたら、そろそろだが……」
敵に倒された瞬間を見ていなかったとはいえ、ドロニュルの攻撃を喰らって体力が尽きたことは、まちがいない。魔法タイプの操作キャラクターは、防御力が低い。どうしても、物理攻撃に弱いという欠点がある。[勇者イベント]は何度でも挑戦できるが、失敗した回数により、獲得アイテムの価値が
「ミスって直前のセーブデータからやり
残念ながら、レンドが獲得できるアイテムのランクは下がっている。2回目の挑戦で、ぜひクリアしてもらいたいところだ。
「いかん。プレイヤー
仮にも、俺はリージョンマスターのひとりである。個人的な感情は封印せねば……。
✓つづく
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