おじさんに期待しちゃだめだよ。リージョンマスターのハッピーエンドは前途多難のようです。

み馬

001 取り扱い説明

※取り扱い書を読まない派の方は、目を通さず[第2話]へお進みください。 



 [ご注意]

 ハッピーエンドを目ざす場合、

 リージョン移動を実行する前に

 必ずヒントをご確認ください。  


  

  →ゲームを新しく始める

  →リージョンについて

  →ヒントを開示かいじする



 いっさいの宣伝せんでんや、事前登録を受けずに配信(発売)された、モバイルデバイス専用アドベンチャーゲーム[リージョンフライハイト]をインストールすると、注意書きと3つの選択肢コマンドが画面に表示される。


 プレイヤーの目的はリージョンごとに発生するイベント攻略と、難易度におうじて入手できる報酬ほうしゅう(ゴールドコイン)を貯めることである。また、ゴールドコインはゲーム内でアイテムに交換する用途のほか、電子マネーや現金に還元できるシステムにつき、いちどクリアしたイベントは二度と発生しない。


 ゲーム開始直後、プレイヤーが移動できるリージョンは3つである。いくつかのイベントをクリアすると、新たにふたつのリージョンが追加されるが、イベントにはタイムリミットが設定されているため、いつ、どのタイミングでリージョンを移動するか(イベントを発生させるか)はプレイヤー次第しだいだ。


 このゲームの特徴は、リージョンマスターから渡される[伝説の剣]を装備して、バトルイベントに勝利すると、勇者(または聖女)の称号をゲットでき、ステータスも格段にパワーアップする。遭遇する敵もレア度があがり、ボーナスリージョンへの移動が可能になる。ただし、どんなにレベルを上げても、ラストに発生するイベントはバッドエンドにつながってしまうため、ゲームオーバーを回避かいひする方法は、ヒントにたよるしかない。


 とはいえ、[伝説の剣]をゲットすると、ランダムに更新される限定イベントに参加できなくなるため、プレイヤーは勇者(あるいは聖女)の称号に関心をしめさず、一定いっていのレベルでリージョンをめぐり、日々イベントを攻略し、ゴールドコイン集めに時間をかけるパターンがほとんどである。


 さらに、斬新ざんしんなシステムが搭載とうさいされており、リージョン移動をすると、低確率でシークレットルームが出現し、そこではゲーム内で使える選択肢コマンドを増やすことができた。うっかり、禁止ワード(卑猥ひわい過激かげき犯罪はんざい用語など)を入力してしまうと、直前にクリアしたイベントは無効(再チャレンジ不可)となり、そのさい入手したゴールドコインも没収ぼっしゅうされるという、ちょっとしたペナルティもある。セーブデータが初期化される場合もあるため、フリーコマンドの入力は注意が必要である。


 リージョンとは、ひとつの区域エリアを意味する専門用語で、自動生成および消滅する。いくつかのリージョンで発生するイベントを管理する人間をリージョンマスターと呼び、ゲーム内のプレイヤーの前にあらわれることもある。


 リージョンマスターの対応はプレイヤーの進行状況(最終目的)によって異なるため、AIエーアイではなく、モニター越しに実在じつざいする関係者(リージョンマスター)と会話が発生するシステムになっている。また、効果音はあるが、登場人物などに音声機能はない。


 これは、リージョンマスターを担当する関係者おじさんのひとりが、あれこれ、、、、に不満をつのらせるアンニュイな物語である。



✓つづく

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