004 割に合わない
小学生の頃、最新の家電が
……こんなおっさんになっても、実家近くの安いアパート暮らしの俺が言うことじゃねーか。いくら社会人とはいえ、年々
「……ふう、腹が減った。少し早いが
アパート暮らしを始めてだいぶ経つが、
日中とはいえ、スーパーマーケットの駐車場には、そこそこ車が停まっている。俺は運動不足を少しでも解消するため、なるべく入口から遠いところに駐車するようにしている。
「いらっしゃいませ~」
「らっしゃいませ……」
「いらっしゃいませ、こんにちはぁ」
買いものカゴを持って店内をうろつくと、品出し中のおばさんや、社員らしき制服のおねえさんが接客用語で挨拶をする。それぞれ微妙にちがうわ、相手に聞こえないくらいの声だったり、あきらかに面倒くさそうに言われたりする。いちいち気にしないが、見たい商品棚から動かないやつは、ふつうに邪魔だ。こっちの雰囲気を察して横にズレてほしいもんだ。というか、商品を取りたいから「すみません」って声をかけると、「はあ?」ってふり向くのやめろ。いくら仕事の手を止められるからとはいえ、商売なら客を優先しろ。失礼な態度をとるな。まあ、客は神様って時代は、とっくに終わってるがな……。
「のり弁がない」
食べたいと思っているときにかぎって、なかったりするんだよな。どういうセオリーだよ。いつもは二段重ねで置いてあるくせに、きょうはシャケ弁当が多めだな。しかも、のり弁当よりどれも二百円高い。予定外出費だぜ。
決めかねて惣菜コーナーをうろうろしていると、なんの
……しかたない。俺もシャケ弁にするか。そういえば、鮭を食べるの久しぶりだな。たまには
アパートの自室で買ってきた弁当を食べ終えた俺は、ふたたび[リージョンマスター]の仕事に戻る。発売して数十日のゲームだが、ほぼ毎日のように俺の役目が必要になる。安達めが、日給八千円じゃ、割に合わないぞ。
✓つづく
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