026 ゲーム開始
夢という単語は便利だ。不都合な現実から、目をそむけることができる。言い訳にも使えるしな。
どうやら俺は、ゲームの世界にいる。精神とか意識とか、そういった妄想の領域ではなく、外界を認識する
「色々な意味で情報が
こんどは武器を装備しているため、むやみに
青少年が中年の弱々しそうな会社員風の男を狙い、金品を強奪するという、おやじ狩り事件が
10代は無敵だな。
……すまん、今のは偏見だ。
「よう、話しかけていいか」
酒場の近くで3人の男女が雑談していたので、俺のほうから歩み寄ると、『おじさん誰?』『こんにちは』『ちゅーねん戦士だ、
ちゅーねん? ああ、中年か。
そういや、初期設定で選べる
プレイヤーキャラに、中年を
チョイスするやつは少ないな。
遅ればせながら、装備品でゲームの世界観に近づけようにも、俺くらいの年代キャラは少数派だと自覚した。リージョンフライハイトは、長い時間をかけてやり込める系のゲームにつき、わざわざ見た目を中年にしようとは思わないようだ。まあ、若いキャラクター陣より、あきらかに地味だしな……。ってか、俺も弱そうに見られているのか? 現時点での自分のステータスが不明だ。どうやったら確認できるんだ? ここはひとつ聞いてみるか。
「俺は最近ゲームを始めたばかりで、まだ操作に慣れてない。限定イベントについて知ってたら、教えてくれないか」
『なんだ、初心者か。ここは貴重品の[仲間のきずな]がゲットできるリージョンだよ。道具屋で手続きをすれば[マグマの遺跡]に挑戦できる。ちょうど今、3人で相談してたところ。強制バトルがあるから、50までレベルを上げとこうかってさ』
「どうもありがとう。あと、ステータスの確認って、どうやればいいんだ?」
『村の入口にある
同じく戦士キャラクターの男が会話に応じてくれた。
レベル──50 命中率──65
攻撃力──45 素早さ──55
防御力──50 魔力───30
精神力──35 運────35
武器/剣/ミスリルソード
だいぶ
「さあ、ゲームスタートだ」
✓つづく
※主人公の音声(セリフ)は「かぎ括弧」、ゲーム内のキャラクターボイスは『二重かぎ括弧』で表記しています。
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