013 なんかおかしい
……これは[夢]だ、と、わかるときがある。時々、自分が見ている夢を
夢をみていると気づいても、そのままの状態がつづくといえば、なんとなく伝わるだろうか。そんな夢をみるときは、自分は自分ではなく、ちがう姿をしている。だが、ひと目で「あれは俺だ」と
突然わけのわからンことを……とツッコまれそうだが、今まさに、そんな夢をみている。
ミスリルソードを装備した戦士の俺が、リージョンをうろついている。頭の上に[ブレイク]と出ていないのが気になるが、夢だからスルーしておく。リージョンマスターを引き受けてから、たまに[リージョンフライハイト]の世界を歩きまわる自分がいる。そういった夢をみる。
『またゲームに入り込んでるのか。……とりあえず、酒場に行くか』
とかなんとか、俺が
……俺は透明人間に
なっているのか?
これはいつもの夢だと思ってぼんやりしていると、[ブレイク]の前にドロニュルが2体出現した。ミスリルソードを装備しているから、戦闘は可能である。リージョンマスターも、ふつうにプレイヤーとしてゲームや限定イベントを楽しむことはできる。ただし、必要以上のネタバレは禁止だ。
あれ?
こっちに逃げてくるな
ブレイクは敵前逃亡した。なぜ、戦わない? 見たところ、ドロニュルは第1形態だ。それほど強敵ではない。数ターンで倒せるはずだ……。
とかなんとか思ううち、ブレイク(俺)は、俺(透明人間)の
ちょっと待て
周囲をよく見ると、俺が担当しているリージョンではなかった。似たような景観で気づくのが遅れた。このパターンの夢は初めてだ。……他のリージョンについては、マスターという立場上、
ドロニュルの攻撃や追跡を一定時間ノーダメージでやり過ごすと、ゴールドコインが手に入る……、とかいうイベントがあり、逃げる選択肢が正解の場合もあるってことか。たぶん。
にしても、なんか
おかしいような……
逃げまわるブレイクの姿は、どこかに消えている。ドロニュルはNPCと追いかけっこをしているが、ふつう村人が攻撃を受けて倒されることはない。……まあ、俺のリージョンならばの話だ。現在地がわからん。
ってか、誰もドロニュルを
倒そうとしないのか?
頭の上に名前が表示されているプレイヤーはたくさんいるが、どういうわけか、誰ひとり戦おうとしない。つまり、これはイベント演出なのだろう。透明人間の俺は、ただ、見ているだけでいいはずだ。夢なら、そのうち
✓つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます