第37話 正解のある試練3


「・・・・・おい、何かわかったのならさっさと答えろ。じゃねぇと俺はバカだから、手っ取り早い方法でしか試練を乗り越えられねぇ」


 地味な女の表情が一変したことは気になるが、それを気にしてやれるほど俺には余裕はない。


「はい、話します。話しますけど、確証を得る為にあっちの人に2・3質問しなくちゃいけないので、剣を治めてもらえませんか?」


「・・・・・あん?」


「な、なによ! こっち見るんっじゃないわよ! ぶ、ぶっ殺すわよ!」


 キーキー声で威嚇してくるうるさい女。

 地味女とは真逆に派手な容姿で、知的という言葉とは無縁そうな女が遠くで騒いでいた。

 周りが石壁に囲まれた闘技場で無ければ、今にも地平線の彼方まで逃げ出していそうだな。


「おい女。こっちに来い。来ないなら問答無用で殺すぞ」


 チャキリと腰にぶら下げていた銃を抜く。


「お、オモチャなんかで従うわけ「パンッ!」ひぃっ!?」


 銃を撃つとうるさい女は床に腰を落とし動かなくなった。

 別に当たっていないので、どうやら腰が抜けたようだ。


「ちっ、腰ぬかしやがったか」


「そ、それ、本物、ですか?」


「ああ、試練をクリアしている途中で拾った。この剣も鎧も同じように試練をクリアしていく途中で拾って来たものだ」


「そ、そうなんですか・・・・」


 地味な女は銃の音にびっくりしても腰を抜かすことはなかった。

 なので、動けなくなったうるさい女の元に行くぞと伝え向かうことにした。


「これでイイだろ。それじゃあさっさと終わらせて、さっさと話せ」


 地味女の要望通り場は用意してやった。

 だからさっさと答えがあるなら話してもらわないと困る。


「わかってる。わかってるからそんなに急かさないで」


 地味女は怯えながらも、急いで腰を抜かすうるさい女の元へ駆け寄る。


「あなたに質問します。お願いですから正直に答えて」


「な、何でアンタのいう事を聞かなきゃ」


「今の状況を理解してください! 答えてくれないと私達あの人に殺されちゃうんですよ!」


 人を快楽殺人鬼のように言って来る地味女だが、言っていることは間違っていないので俺は文句を言うことはない。


 この女達以外に残りの二人がどこにもいない場合は、結果的にこの女達を殺さなければならないのだから。


「わ、わかったわよ! 答えてやるわよ! だから早く何が聞きたいのか言いなさいよ!」


 チラリと視線を向けた後、うるさい女はキレ気味に反応する。


「まず一つ目。貴方は既婚者ですか? それとも将来を誓い合った男性、もしくは今付き合っている人はいますか?」


「は? 何よその質問。今そんな事関係ないじゃ「いいから答えて!」叫ばないでよ!」


「・・・おい女。話が進ませない気なら、話せないよにしてやろうか?」


「ひっ!? わかったわよ! ちゃんと答えるわよ! いる! 付き合っている彼がいるわよ!」


「そうですか。では二つ目です。その男性とは何処まで進んでいますか?

 というか、状況が状況なのでズバリ聞きます。

 セッ〇スしてますか?」


「はぁ!? 何でそんなこと言わなきゃ!「おい」し、してるわよ! だから何よ!」


 もはやセクハラでしかないと思う。

 だが、何だ。

 バカな俺だが、流石に気付いたぞ。

 いや、この試練に臨み続けて脳裏に刻まれたおかげか、イヤでも予想出来てしまった。

 多分二人目というのは、


「では最後の質問です・・・・・・・・・・・月の物は来ましたか?」


「え?・・・・そういえば・・・」


「来てませんよね。私も・・・・・・まだ来てないんです」


 そう、また赤子の事を言っているのだろう。

 まだ人の形もできていない、検査キットでしか判別できないような、小さな命を奴等は人と認識し、その命を奪うかどうか選ばされているという訳だ。


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