第26話 さっさと終わらせる最悪な手段
「いぐ・・・・・・てぇ・・・くそっ」
男が崩れ落ちた先には罠があり、槍が飛び出してきた。
飛び出してきた槍は崩れ落ちた男の肉体を貫き、俺にまで迫り、俺の身体を突き刺した。
ただ幸いにして、第24ノ試練から奪って置いた皮鎧を着ていたおかげで貫かれることはなかった。
そして大部分は腹や胸を狙われたので、行き成り強い衝撃を受けた感じでしかなく、死に至る怪我は負っていない。
ただそれでも、鎧でカバーできていない部分を負傷する羽目になったが。
「・・・ふざけたトラップしかけやがって」
右肩に軽く槍の穂先が刺さり、左頬がざっくり切られた。
迫りくる槍に気付き反射的に首を捻らなければ、左の頬肉が串刺しにされていたかもしれない。
『貴方は感情に流される傾向があります。いちいち命を奪うたびに熱くならないでください。冷静に、冷酷になってください』
「うるせぇ! いでででっ!?」
だったらわざわざ人の姿の野郎を寄越すなと言いたい。
つか、叫ぶとマジでいてぇ。
静かにしてねぇとヤベェな。
「くそ。洒落にならねぇ」
『今はまだ問題ありませんが、このまま治療せず放置しますと腕を上げられなくなる可能性もあります。もしくは出血多量で死ぬ恐れもあります』
「言われなくともわかってるってんだ」
飯と水は持ってきたが治療道具なんて持ってきていない。
消毒液と包帯くらいは用意しておくべきだったか。
荷物になるから持ってこなかったのによぉ。
「ぐっ!?」
皮鎧を外し、飲み水として持ってきた水で傷口を洗う。
包帯は無いので、変わりに着ていたTシャツを破き、余ったTシャツも傷口に当て、キツク結ぶ。
Tシャツは綺麗とは言えないが、血を止めるための一時しのぎとしては十分だろう。
「はぁ、はぁ、はぁ、マジで、最悪だ。足の傷も治っちゃいねぇのに」
3日前に負った足の傷。
全く、ここ数日で色んなところに刀傷がついて嫌になるぜ。
こんなに物騒な怪我ばかりしちまうと、銭湯行ったときに堅気の人間じゃないと思われちまうよ。
「さっさと終わらせねぇと」
視線の先に無残にも串刺しにされた男に軽く頭を下げた後、痛みに耐えながら俺は立ち上がった。
「あん?・・・・・・・・・ありがたく使わせてもらうか」
立ち上がると、足元に男が持っていた銃が転がっているのを見つける。
銃にさほど詳しいわけではないが、ハンドガンと言われる銃であることは、俺にも理解できる。
アクション映画でも良く見る代物だからな。
「・・・結構重いな」
マジモンの銃。
鉄の塊であるから軽くはないことは想像できていたが、初めて持つマジモンの銃は異様に重く感じた。
今持っている剣の方が重いというのに、変な感じだと思いながら、俺は銃を右手に持ち歩み出す。
右肩が怪我しているので瞬時に使えないが、この階では銃を使う気はないので問題ない。
「あと・・・・・・九人・・・か」
恐らく残りの九人も今の男と同じような人間?が相手なのだろう。
そしてそんな人間を使って罠を作動させてくるのだろうな・・・・・気分が滅入るぜ。
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