第17話 目的を見失うな


 無気力日数2日目

 俺は未だに赤子を殺したことを引きずっている・・・・いるが。


「ガツガツガツガツガツガツガツガツッ・・・う・・・・」


 何とか克服しようとしている。

 無理にでも飯を食い。

 無理にでも身体を休める為に睡眠を取ろうとした。


 こういうのは本来時間が解決してくれるのかもしれないが、残念ながら今の俺にはその時間というのが限りなく少ない。


 1日無駄にした。


 仕方が無いとわかっているが、1日無駄にしたのだ。

 このゲームのステータス画面のようなモノに書かれている時間というのが、刻一刻と減って言っているというのに。



 8日1時間24分10秒


 使用可能ポイント 20ポイント


 攻略報酬リスト


 映像(中)

 空気(上)

 重力(中)

 大地(上)

 気温(上)

 水(中)

 食料(中)

 服(中)

 トイレ(中)

 寝袋(中)

 家(中)

 空(下)…etc



 習得済み

 映像(下)

 空気(中)

 重力(下)

 大地(中)

 気温(中)

 水(下)

 食料(下)

 服(下)

 トイレ(下)

 寝袋(下)

 家(下)



 残り時間は後8日しかない。

 この期間内に、身体の弱い彩菜が快適に暮らしていけるだけの環境を整えなくては。


「・・・・・・・塔に行く前に、ポイントを全部使っておかねぇとな」


 ポイント消費して少しでも彩菜の環境を整える。

 命を奪い得たポイント。

 そのポイントを、彩菜のために・・・・・いや、俺自身のために、俺の大事な人を守るという俺の我儘のために使っているということを忘れないために使う。



 8日1時間20分48秒


 使用可能ポイント 6ポイント


 攻略報酬リスト


 映像(中)

 空気(上)

 重力(上)

 大地(上)

 気温(上)

 水(上)

 食料(上)

 服(上)

 トイレ(上)

 寝袋(上)

 家(上)

 空(下)…etc



 習得済み

 映像(下)

 空気(中)

 重力(中)

 大地(中)

 気温(中)

 水(中)

 食料(中)

 服(中)

 トイレ(中)

 寝袋(中)

 家(中)



 映像と空以外の全てを(中)まで取ってみる。


 重力(中)体重20キロ以上の生物は浮き上がり、宇宙の彼方まで飛んでいく

 水(中) 10ℓ分の水が1日に1度与えられる

 食料(中) 昔の朝食セットを6食分か、カロリーメイトらしきものを14本分

 服(中) 下着&夏服用

 トイレ(中) 仮設用トイレ

 寝袋(下) 穴も汚れも無い中古の寝袋

 家(下) ボロボロの小さな倉庫


 環境は相変わらずクソ仕様だが、ギリギリ人が生きられる環境を整えることができた。

 だがまだまだ身体の弱い彩菜が生きていくには厳しい環境であることには変わりはない。

 環境以外にも整えなければならない項目があるのだから。


「全てを(上)のランクに上げれば彩菜でも生きられるようになるよな。そうであってくれよ・・・・うっぷ・・・う・・・ごっくん」


 不意に込み上げてきた吐き気を飲み込みながら、俺は残ったポイントを使う。

 とはいえ(上)を習得するには3ポイント必要であり、残っているポイントを全て使っても2つしか選べなかった。

 第21ノ試練からはポイントが増えて貰わないと、必要なリストを全て(上)に出来ない。

 こんなことをしでかした奴に願いたくはないが、どうか第21ノ試練からのクリア報酬は3ポイントと増加してくれと願うほかない。

 まぁポイントの増加が見込めなければ・・・・・どんどん試練を突き進むだけだ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彩菜・・・・・・・・助けるぞ・・・・絶対に・・・絶対にだ」


 ポチポチと余っていたポイントを割り振り、俺は己の決意を口にする。

 もう迷うなと。

 もう進むしかないのだと

 もう・・・・・・・・・人殺しになってしまったのだからと・・・・・。



 8日1時間17分31秒


 使用可能ポイント 0ポイント


 攻略報酬リスト


 映像(中)

 空気(特)

 重力(特)

 大地(上)

 気温(上)

 水(上)

 食料(上)

 服(上)

 トイレ(上)

 寝袋(上)

 家(上)

 空(下)…etc



 習得済み

 映像(下)

 空気(上)

 重力(上)

 大地(中)

 気温(中)

 水(中)

 食料(中)

 服(中)

 トイレ(中)

 寝袋(中)

 家(中)



 空気(上) 人体に影響はないが吐き気を催す腐った空気が世界に蔓延した

 重力(上) 体重40キロ以上の生物は浮き上がり、宇宙の彼方まで飛んでいく


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