第15話 とある≪掲示板≫1


 突如現れた塔の情報求むスレ



:現代にファンタジーが来たーーーーっ!


:いえぇぇぇいっ!


:いえぇぇぇいっ!


:冒頭からテンションたけぇ奴等がいるぞ


:仕方がなくてね? 俺だってマジでテンション上がってんだからよ!


:まさか漫画の世界でしかありえないことが起こるとは思わなかったぜ


:つか、あの塔は何なんだろうな?


:普通に考えてダンジョンだろ


:ド〇アーガの塔だろ


:ハノイの塔だな


:ハノイの塔ってなんだ?


:真ん中に穴の開いた八つの円盤を三本の杭を使うパズル遊具だったような?


:円盤八つも使ったか? 四つくらいだと思うが?


:そんなこたどうでもいいだろ! それよりあの塔は何なんだよ! そして俺の息子がどこなんだよぉぉぉ!


:息子? まさか股の息子が無くなったのか?


:ご愁傷さまです


:ち~ん


:そう言うのいいから話を戻そうぜ


:というか少し不謹慎じゃないか? 世界各地で人がいなくなってるってニュースで騒いでるんだぜ?


:あ~、それ私も見た

 つ~か、その話しマジなん?

 私部屋から一歩も出んからわからんのだけど


:引きこもりにはわからんよなぁ

 俺もヒッキーだからわからん

 ただ親父が消えたとかってババアが騒いでいたっぽい?

 あんま気にならなくて無視してたけど


:騒いでいたなら話聞いてやれよ


:・・・流石に無視は酷いと思う


:いや無理

 親と話なんてここ十年してねぇもん

 ついでに言うと外にもでれてねぇ


:あぁ~・・まぁ~・・・・・・・がんば?


:と言う感じで話しがいい感じにまとまったところで本題入るぞ

 つか入ってくれ! 入らないなら流石にアク禁せざる負えない


:強引に来たなぁ


:しゃ~なしだべ

 流石に断線し過ぎたからな

 と言う訳でだ

 誰かあの塔についての情報持ってる奴いないの?


:流石にあんな得体の知れない所に行く奴なんていないだろ

 漫画やアニメの世界じゃないんだぜ?


:ぼくはゆうしゃだぁ~!

 なんて奴なら言っていそうだがな


:おう、僕は勇者だぁ~!

 塔の中に入ってきた勇者様だぞ!


:うえぇ!?


:マ? それマジのマ?


:マジのマだ

 つうわけで聞かせてやろう

 命懸けの大冒険の末に手に入れた勇者様からの貴重な情報を!


:大冒険!(笑)


:大冒険!?(笑)


:大冒険?(笑)


:大冒険(笑)


:だいぼうけん(笑)


:煽るなよ

 せっかく貴重な情報をくれるって言うんだから


:そうだぞ~

 せっかく教えてくれるんだから、そう言うのやめようぜぇ~


:てなわけで情報どうぞ、勇者君


:・・・・なんか釈然としないがいいだろう!

 僕の大冒険の話を聞かせて進ぜよう


:わぁ~~~~~~~


:きゃ~~~~~~


:パチパチパチ~


:では初めに塔に入った話の前に、パーティーメンバーを紹介しよう


:パーティーメンバー? 一人で入った訳じゃないの?


:流石に一人は怖かったから丁度一緒に遊んでいたダチと二人で入った


:こわい・・・


:いやそこはツッコンでやるなよ

 普通に考えて行き成り現れた塔に入るだけでも普通にビビるだろ


:そんで二人で一緒に塔に入ってみたら、行き成りあのよくわからん人の声が聞こえてきて、目の前に透明な板?と言っていいのかわからんが、ゲームとかで見る宙に浮かんでいる板が現れた

 そしてその板には、時間制限的なタイマーとかポイントとかが書かれていたぞ


:時間制限?


:ポイントッ!

 それって自己強化する感じのポイントか!


:レベルが上がるたびに強くなる感じのあれなら俺は今すぐ塔に行くぞ!


:残念だったな

 ポイントで習得できるのは、映像(下)とか空気(下)とか重力(下)とかで、己を強化するモノではなかった

 ついでに言うと空気(下)を選んで風魔法を手に入れたとかじゃなかった。

 空気(下)とかの話は、後で説明するからちょっとまって


:空気(下)の(下)が気になる所ではあるが、時間制限ってほうが俺的には気になる


:その時間制限については後で憶測を話すから待って

 てことで話しを続けるが、僕達は塔を入った後、そう言う透明な板を手に入れた

 そして塔に入ると同時に1ポイント渡されて、その1ポイントを使って映像を取れと言わんばかりに点滅していたから選択してみると、行き成り僕の一番大事な人だと思っていた人物の姿が映し出されたんだ・・・・・・・全裸姿で


:全裸!www


:全裸の方は女性ですか?


:女性云々はこの際置いておいて、映し出された人は全裸の状態で身体を丸めるようにして映ってた・・・・・マグマに囲まれながら


:ホワイ?


:意味が分からんのじゃけれども?


:それ大丈夫か? 死んでないか?


:多分大丈夫だと思う

 なんか白いバリアっぽいので守られていたから


:バリア・・・


:ファンタジーではなくSFかよ


:ついでに言うとダチの方も、ダチが大事だと思っている人が全裸姿で身体を丸めてて、その周りを丸ノコが高速回転しながら埋め尽くされていた

 多分数ミリ動くだけで全身切り刻まれる


:お、おおぅ


:なにそれ・・・・


:そ、そんで、それからどしたの?

 そのまま帰ったの?


:いや、その映像にポイントを割り振った後、これ見よがしに目の前に階段があったから登ってみたんだ

 そして階段を登った先には幼稚園児並みに小さくてやせこけたゴブリンがいた


:お約束魔物キター!


:最弱魔物!!


:最弱はスライムじゃね?

 ゴブリンは雑魚レベルだと思うぜ


:最弱でも雑魚でもどっちでもいいわ

 そんな事よりゴブリンが出て来たってことは、やっぱり殺しちゃった感じ?


:・・・・・・うん、殺した

 殺したくなかったけど、ゴブリンが行き成り僕に襲い掛かってきて、引っ掻かれたり噛みつかれたりして身体に纏わりついて来て、それをダチが引き剥がそうとしてもなかなか剥がせなくて、仕方なく思い切り振り回して地面に叩きつけたら、死んじゃった

 あっ、死体はゲームみたいに消えないで、そのまま残っていたよ


:その程度で死んだのかよ・・・・・・流石最弱の魔物


:死体が消えないのかぁ

 グロ強めって感じで俺は苦手だなぁ


:それでゴブリンを殺したら第一ノ試練をクリアした的な事を言われて、僕とダチにはそれぞれ報酬として1ポイント貰った


:お! そんでそのポイントを自己強化に使って無双か!


:いや、さっきそう言う風には使えないって言っていただろ


:そう、自己強化には使えなかった

 変わりに空気(下)とか重力(下)とか大地(下)とかの環境的なのが選べたんだ

 だから試しに空気(下)を選んでみると


 喉を焼くほどに高温の空気が蔓延した

 その空気は徐々に生物の焼き命を奪うだろう


 的なことを言われた

 多分その空気(下)とかを選ぶと、囚われている人の環境? ってのが少しずつ良くなるっていくんだと思う

 だって空気(下)を習得したら空気(中)って項目が増えたんだもん


:要するに街作りゲーム的な感じか?


:そんな感じだと思う


:それって環境を整えなかったら囚われた人達はどうなるんだ?


:放っておいて大丈夫じゃね? バリア的なので守られてるんだから


:いや、多分ずっと大丈夫って訳じゃないと思う


:どういうこと?


:初めの方に言ったじゃん

 塔に入ったらステータス画面見たいのが現れて、そこにポイントと時間制限的なタイマーが書いてあったって


:時間制限・・・・・それってバリアが維持されている時間だと考えてるのか?


:うん、僕はそう考えるよ

 だって普通に考えてバリアがいつまでも維持されるとは思えないもん

 多分あの時間制限って言うのは、その間に囚われた人達が暮らせる世界を作れと言っているんだと思う

 そして制限時間だけど、僕のステータス画面には


 あと9日2時間53分10秒にて解放


 って書かれていた


:おおう!? マジかよ!? あと9日しかねぇのかよ!? だったら囚われた人がいる奴はさっさと塔に入らないとヤバくねぇ!?


:そう言うお前さんは登らなくていいのかよ


:はっ、残念だったな! 俺に大事な人などいない!

 家族にも先立たれて、生涯独身で、社交性が無くて、リモートで仕事しているひっきーの俺に、そんな人が、出会いがあるわけないだろ!(泣)


:ああ、うん、ごめん

 とはいえ俺も貴方と同じですわ

 そう言う人はいないわ


:あっ! けど私は昔から大切にしていたヌイグルミが消えちゃったんだけど、もしかしてそれが塔に取られちゃったりとかしたかな?


:ヌイグルミ!?www


:笑う必要ねぇだろ

 つか俺のところも、俺の命より大事にしていたハムスターのボンレスがいなくなった瞬間、マジで凹んだぞ


:ボンレス・・・ひでぇ名前だな


:つうことはあの塔は人以外も物や生物を攫うってことか?


:恐らくそうだろ

 隣の口うるさいババアが、飼っていたブルドックの○○ちゃんがいなくなったって騒いでいるしよ

 ああちなみにババアの夫は普通に無事だった


:ブルドック以下の夫かぁ

 そりゃあ悲しいぜ


:そして夫の方だけど大事にしてたバイクが消えたことに、スゲェ動揺してた


:バイク以下の妻かぁ

 なんかその家庭冷え切っていそうだな


:そんなものじゃないの?

 伴侶をずっと一番に愛するなんて夢物語だし


:ねぇそろそろ僕の話に戻すよ

 とはいえ他に話すことといえば、ポータルとバリアくらいしかないんだけどね


:ポータル? それってワープ的なあれか?


:そうそれ

 弱いとはいえ僕はゴブリンに引っ掻かれて噛みつかれて怪我したから、一旦家に戻って病院に行こうと考えたんだ

 ゴブリンってとっても汚いイメージがあったから、破傷風とかになって腕とか切り落とすことになるのはイヤだったし・・


:確かに賢明な判断だな

 ゴブリンって雑菌まみれって感じだもんな


:だから家に帰りたいって考えたんだ

 そしたら宙に浮かぶ小さな杯が行き成り出てきて、試練を一時中断するならその小さな杯に血を捧げろって言われたからその通りにしてみたら、自分の家に転送されていたんだ

 ただ転送されたのは僕だけで、ダチはダチで自分の意志で帰りたいと思わない限り塔から出られなかったらしいよ


:パーティーで挑んでいるのに何故に一緒に転移できないんだ?

 なんか法則性でもあるのか?


:流石にそれはわからないよ

 それと家に転送された後、僕の部屋の中央には小さな杯が勝手に浮かんでいたよ

 杯に触れてみると、また血を捧げれば試練を再開することができるって言われたから、小さな杯は塔と自分の家を繋ぐポータルで間違いないと思うよ


:それは便利と言えば便利だな

 いちいち塔に向かう手間が省ける


:ただそのポータルを使ったあと家がバリアに守られたと言うか、閉じ込められた

 病院に行こうとして玄関から外に出ようとしても扉は開かないし、窓を割ろうとしても全然壊れなかった

 結局お風呂で怪我した部分を綺麗に洗って消毒液をぶっかけたりして自分で手当てしたよ


:おうおう、今度は己がバリアで閉じ込められたんかい

 塔の野郎はいったい何がしたいんだ?


:そんなの決まってんだろ

 どう考えて塔の奴はその試験ってのを受けさせたいんだろ


:逃がさないためにってこと?

 なら受けない方が賢明かもね

 人が捕まっているならまだしも、私の場合は物だもの

 凄く悔しいし、腹正しいけど・・・・・・・まだ諦めもつくわ


:つ~か一番大事なモノと言っていたが、俺的には俺自身が大事なモノなんだが、全然奪われてないんだけども?

 これはあれか?

 己が一番大事な奴には塔も手出しができないて来なあれか?


:わからねぇぞぉ~

 もしかしたら己でも知らない何か大事なモノが奪われているかもしれねぇぞぉ~


:その確認のためにも塔に入るって奴も出かねないよな

 気になるか気にならないかと問われたら、俺は気になるし・・・


:まっ、塔に入るか入らないかは自己責任ってことでいいんじゃないか?


:己の命を賭けてまで助けたい人がいるなら止められないから、確かにそれでいいと思う


:僕もそれでいいと思う

 僕はもう試験を受け続けないといけないし、囚われている人のあんな状況を見せられたら受けないなんて言えないし・・・


:そうか・・・・・・・頑張れよ


:基本ここにいる連中は人ではなくモノを奪われた感じだから参加する奴はいないだろうが、頑張れよ


:こう言っちゃなんだけど、ぼっちで良かったかもしれん


:生き残るのは我が道を行くものと、人との関りを絶った仙人ということか


:あの変な声が言っていた通りになんか選別された感じだね


:人との関りを絶っていた者だけが生き残るって感じか?

 選ばれたと言われれば気持ちはいいが、なんか選ばれた理由が釈然としないな


:釈然としなくとも変なことに巻き込まれないなら運がいいと思うべきだろ


:ただぽっかり胸に穴が空いた感じがするけどな

 十年かけて育て上げた俺の最強アバターが消えて、運営に問い合わせてもそんなデータは存在しないし、今はそんな事に取り掛かっている場合じゃないだろとガチキレされたからな


:ゲームキャラまでやられたのか


:ホントあの塔って奴は何なんだろうな

 やっぱり神的なパワーが加わっているのか?


:そんなのどうでもいいよ

 私に被害が及ばなければ


:辛辣www


:けど間違ってないし、その意見に同意


:誰だって危ない事には関わり合いたくないからな


:ファンタジーなゴブリンはリアルで見てみたいけどなぁ~


:その意見にも同意!



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