第23話 疲れが溜まっていたようだ


 7日14時間0分2秒


 使用可能ポイント 8ポイント


 攻略報酬リスト


 映像(中)

 空気(特)

 重力(特)

 大地(上)

 気温(上)

 水(上)

 食料(上)

 服(上)

 トイレ(上)

 寝袋(上)

 家(上)

 空(下)…etc



 習得済み

 映像(下)

 空気(上)

 重力(上)

 大地(中)

 気温(中)

 水(中)

 食料(中)

 服(中)

 トイレ(中)

 寝袋(中)

 家(中)



 第24ノ試練をクリアしてから家に戻り、水分補給と飯を食った後、少し食休みしているといつのまにか寝てしまった。

 何時に帰ってきたのかわからんが、試練に挑戦してから大体11時間たっている所を見ると結構眠ってしまったようだ。


「あ~、だっる・・・・・身体もくせぇ」


 風呂に入る前に飯と水分補給を優先したせいで身体がマジでクセェ。

 寝るつもりはなかったのだが、想像以上に身体が、いや精神が疲れていたのかもしれない。


「風呂に・・・・・・まだ電気が復旧されてねぇから水風呂に入るっきゃねぇか」


 あったけぇ風呂にゆっくり浸かりたいところではあるが、無いモノは仕方が無い。

 諦めて水風呂で身体を洗うとしよう。

 というか、足の怪我があるから熱い風呂に疲れねぇよな。

 まだ傷も塞がっちゃいねぇんだし。


「あ~・・・だっる~」


 のそのそと起き上がり、水を浴びようと風呂場に向かおうとしたが、その前に台所に向かった。


「・・・まだガスは止まってねぇな」


 流石に最後くらいは、温かい湯で身体を流したいと思いヤカンと大きな鍋に火をかけた。


「・・・風呂入ったら・・・いったん準備しなおさねぇとな・・・」


 寝すぎたせいか、どうにも頭がはっきりしないなと思いながら、今後試練に赴くために必要な物は何か考える。


 軽い食料と水、そして帰って来てから武器やら鎧やらの手入れをしていない。

 手入れなどやったこと無いが、血の付いたまま放置しておくわけにはいかないだろう。

 いらない布で軽く拭けばいいのか、タワシで洗えばいいのか知らんけど。


「・・・ポイント割り振っておくか」


 何をやるべきなのか漠然と考え終わってもまだ湯が沸かないので、俺はよくわからぬ画面を呼び出し、彩菜の環境を整えることにした。



 7日13時間54分27秒


 使用可能ポイント 2ポイント


 攻略報酬リスト


 映像(中)

 空気(特)

 重力(特)

 大地(特)

 気温(特)

 水(上)

 食料(上)

 服(上)

 トイレ(上)

 寝袋(上)

 家(上)

 空(下)…etc



 習得済み

 映像(下)

 空気(上)

 重力(上)

 大地(上)

 気温(上)

 水(中)

 食料(中)

 服(中)

 トイレ(中)

 寝袋(中)

 家(中)



 残念なことに第21ノ試練から第24ノ試練で得られたポイントは2ポイントであり、選べたのは大地と気温の2つだけだった。


 空気(上)

 人体に影響はないが吐き気を催す腐った空気が世界に蔓延した


 重力(上)

 体重40キロ以上の生物は浮き上がり、宇宙の彼方まで飛んでいく


 大地(上)

 尖った小石が多く歩きにくい大地

 転べばあちこち怪我をする


 気温(上)

 1日に-10度~40度、ランダムに気温変わる



 簡単に(上)まで得られた項目を全て読み返してみたが、こんな感じの世界になった。


「初めに比べてマシにはなったが、まだまだ過酷すぎるな」


 俺ならこの世界でも何とか生きていけるだろうが、流石に彩菜には無理だろう。

 というか重力の部分と気温の部分がクソだな。

 -10度とか寒がりの彩菜では耐えられないだろうし、重力においても流石に40キロ以下なんてことはないだろう。

 いくら痩せている彩菜でも成人女性並みの体重はあるからな。

 何気に胸があるから、あれのせいで重いのだろうな。


 ポコポコッ!


「・・・・・・気のせいか彩菜に殴られた気がするな」


 絶対気のせいだと思うが、ここにアイツがいたら絶対人の考えを読み取って怒っていただろう。

 胸があると褒めても重いという言葉が嫌いなようだから。


「・・・会いてぇな・・・お前の声が・・・聞きてぇなぁ」


 無性に寂しくなり、思わず弱音を吐いてしまう。

 ガキかよと思いながらも、大切な人に会えないことが、触れ合えないことがあまりにも苦しく、寂しかった。

 ただ他愛無い話をするだけでもいいから声が聞きたくなった。


 カタカタカタカタ!

 ピーーーーーーーッ!


「・・・・・入るか」


 弱音を吐いていたが、お湯が沸いた音に俺は現実に戻され、ヤカンと鍋を風呂場に持っていき、元々溜めていた水で身体を洗うのだった。





 命を奪う行為。

 魔物・化け物・バケモン・ファンタジーの謎生物。

 何と言おうとも命を奪ったことには変わりなく、本人はなんてことないと言っているが、少しずつ彼の心に小さな傷をつけていった。

 そのことに本人が気付くことはなかった。


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