第20話 第22ノ試練・第23ノ試練


 第22ノ試練

 罠は壁以外にも床にも設置されるようになり、そして敵であるゴブリンは相変わらずのアホだった。

 とはいえ、第22ノ試練のゴブリン達はあからさまに赤いボタンを押すことは無くなった。

 まぁ足元が疎かと言っていいのかわからんが、あからさまに盛り上がっている床の罠を踏み抜き、天井から槍が降り注いだり、丸ノコが上半身と下半身を切断されていたりしていたので、アホな事には変わりないが・・・。


 ああついでに言うと、なんか今まで禿げだったゴブリン達に髪が生えていた。

 ほとんど黒髪ばかりだが、10匹中1匹は金髪だったりとレアものが混じっていたりした。


 だから何だって話だけどな。

 別段髪の毛が生えたからといって、手ごわくなったわけでもないし。




 第23ノ試練

 この試練から少し本気を出すぞ。

 そう言われているかのように、罠が設置されている場所がわかりにくくなった。

 これ見よがしに壁に設置されていた赤いボタンは無くなり、不自然に出っ張っているような形に変わる。

 床の罠も僅かに盛り上がっているだけで、思わず踏んでしまいそうなほどだ。

 はっきり言って注意深く見なければならないほどであり、不用意に足を踏み出すことはできなくなった。

 そしてゴブリンは、相変わらずアホだった。


 いや、アホというかこれは仕方が無いのかもしれない。

 自ら罠にかかりに行っているというより、罠がある事すら知らないのか、俺を見つけては襲い掛かろうと駆け寄り、そのまま罠を踏んでしまうのだ。

 俺でさえ罠の有無を確認しなければならない状況だ。

 知能の低いゴブリンが周囲を確認するなどできる訳もない。


「しかしコイツがアホなのはどうでもいいことだが・・・・・・なんか・・・猿っぽくなってきたな」


 殺したゴブリンの肌は緑色から茶色に変わっていた。

 そして顔付きも剥き出しの目や口裂け女かと言わんばかりの大きな口ではなくなり、全体的にコンパクトになっている。

 まだまだバケモノの域を出ないが、初め見かけた頃よりは見える顔になっている。


「力が強くなっている訳でも、頭が良くなっている訳でもなく、姿が変わってきているか・・・愛嬌でもつけて、殺されにくくさせてんのかねぇ」


 いったい何が目的なのか理解に苦しむ。

 そう思いながら、第23ノ試練中に手に入れた剣や、運よく破損されずに残っていた鎧を身に付け、階段を登っていった。



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