第7話 外では


 主人公が一人試練に突撃しているころ。

 世界中の多くの人々は、未だに混乱していた。


 そりゃあそうだ。

 愛する人がいなくなって1時間たったかどうかの時間。

 その僅かな時間に、先程現れた意味のわからない存在の声に従い、塔に入ろうとする人など早々いない。

 突然現れた未知の塔に足を踏み入れるなど、普通に考えでできる訳もないのだから。


「この塔に聖夜様が・・・・聖夜様。すぐにお助け致します!」

「なに抜け駆けしるのよ! 聖夜様を助けるのは私よ!」

「アンタ達こそなに抜け駆けしようとしてんのよ! 聖夜は私の男よ。ブスがでしゃばらないで!」


「まいんたんを助けるのは我等だ! 我等まいんたん親衛隊の力を今見せる時が来たのだ!」

「隊長! 総勢26名の親衛隊員が集まったでやんす!」

「ならば行くぞ! 我等のまいんたんを取り戻しにっ!」


 ただ普通では無い者もある一定数存在しており、そう言う普通とは少々異なる者達が着々と塔へと突撃していった。


 その人の大切な者を奪った塔ではあるが、その人達にとって一番大切な者とは、家族や友人などではないこともざらであった。


 そして


「わ、儂の金が。儂の、儂の金がぁぁぁぁぁぁっ!?」


「ワタクシのペイニィーちゃんが消えたわ! ペイニィーちゃん! ペイニィーちゃん! 何をぐずぐずしている! 早くペイニィーちゃんを探しなさい!」


 奪われたのは人だけではなく、物や動物が塔に奪われるのだった。



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