第12話 第11ノ試練からは・・・


 青白く発光する器で塔に戻って来られた俺は、目の前でさっさと登れと言わんばかりの階段を上っていった。


 あの青白い発光器について少しは調べるべきかもしれないが、頭のできが悪い俺が調べたところで、何かがわかる訳もない。

 身体を動かすことは得意でも、頭の方はからきしだからな。


『第11ノ試練会場への侵入を確認しました。これより試練を再開します』


 階段を登りきり、真っ暗な部屋の中に足を踏み入れるとそんな声が聞えて来た。

 声は今まで聞こえていた男の声ではなく、聞き覚えのある女の声に変わっていた。


『そしてこの第11ノ試練からは、この私、アヤが貴方様の進行を務めさせていただきます』


 丁寧な言葉使い、聞き取りやすい声だが、その声は腹正しいほどに彩菜の声に似ていた。


「舐めてのんのかテメェ!」


 アヤと言う名前も彩菜に似ている。

 まるでこちらの感情を逆なでされているかのようだ。


『第11ノ試練から第20ノ試練は生き残り戦になります。必要な数だけ命を奪い試練をクリアしてください』


 こちらの言葉など聞かずに、彩菜の声に似たアヤは話を進めていった。


 アヤの説明が終わると、真っ暗だった部屋の中が明るくなっていった。

 明るくなると俺は四方を壁で囲まれた闘技場のような場所に立たされていた。


「おぎゃぁー! おぎゃぁー! おぎゃぁー!」


「く~ん! く~ん! わふ! わふわん!」


「みぃみぃ! みゃ~!」


 そして俺の周りには生まれたばかりの人間の赤子や子犬や子猫、ヒヨコやネズミの赤ん坊などの生き物が合計10人? 10匹? 放置されていた。


「・・・・なんだよ・・・こりゃあ」


 意味のわからない状況。

 何でこんな状況になったのかわからず、俺は困惑する。


『これより第11ノ試練を始めます。劣る者を1匹殺し、次の試練へと進んでください』


 彩菜に似た声がそんな事を言って来る。

 そしてその声は


『選別を始めてください』


 大事な彩菜の声で、殺し合いの合図を口にしやがった。



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