第31話 第26ノ試練
これ以上ゆっくりしていられないと思い、俺は無理に身体を動かし塔の試練に挑むことにした。
勿論今回の試練で必要であると痛感した救急セットを持っているし、第25ノ試練で拾った銃も紐で結び、腰にぶら下げている。
ただ銃を腰にぶら下げるとなると、流石にジャージでは腰の重さでずり落ちそうだったので、ジーパンに着替え直している。
ちと動きにくさがあるが、ジーパンならベルトに銃を差せるしな。
『器ニ血ヲ捧ゲヨ』
「いちいち言われずともわかってるっての」
アヤの声ではなく、初めて聞こえたある男の声? 爺の声? に従い、俺は己の血を一滴捧げ、塔への試練へと挑んだ。
『第26ノ試練会場への侵入を確認しました。これより試練を再開します』
塔に戻り、次の試練に続く階段を登りきると、ゴツゴツと石ころがそこかしこに転がっている部屋に辿り着いた。
『第26ノ試練からは本格的な選別を行います。大切な方を、愛する方を助けたいと強く願うのでしたら、躊躇せぬように心がけてください。でなければ貴方は間違いなく死にます』
警告なのか忠告なのか、甘い対応はするなと言って来るアヤ。
ムカつくことに言っていることは間違いではないのだろうな。
ただ殺しを善としているようなその発言は俺をイラつかせるが。
「おぉ!? どこだここは!?」
「なにこれ!? なんで私こんなところに!?」
「おぎゃー! おぎゃー! おぎゃー! おぎゃー!」
「はて? ここはどこじゃ?」
そして闘技場の上には見知らぬ男や女、赤ん坊や老人が現れた。
数は・・・俺を含めて10人いる。
『『『『『これより第26ノ試練を始めます。劣る者を一人殺し、次の試練へと進んでください』』』』』
彩菜に似た声以外にも、色々な人々の声が聞こえてくる。
そしてその声達は
『『『『『選別を始めてください』』』』』
無情にも戦いの合図を口にするのだった。
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