第2話 愛する者は塔の中


 選別ノ塔ヲ受ケヨ


 その言葉を聞き俺は突然現れた塔へと駆けた。

 状況が飲み込めておらず、唖然と立ち尽くす者や大切な人を奪われ混乱する者人ごみを掻き分けて俺は走った。


 よくわからぬソレが語った言葉は、どういう意味なのかなんてわからない。

 けれど、その選別の塔と言う場所に行かなければ、僕の大事な人が、彩菜(あやな)が取り戻すことができないということだけはイヤでも理解できた。


 彩菜が囚われている。

 やっと、やっと彼女と結婚できると言うのに、やっと病気が治って、これからの事を話せるようになったのに・・・なのに。

 これから訪れる幸せを意味のわからない存在が奪い取った。

 取り戻さなければならない。

 必ず取り戻して、彼女には幸せな道を歩んでもらわなければならない。


 使命感にも似た想いに俺は突き動かされながら、俺は塔へと駆け込んだ。





『ヨウコソ選別ノ塔ヘ コレヨリ主ノ愛ヲ確カメサセテモラウ 愛ヲ見セヨ 愚カ者デハナイ証ヲ見セヨ』


 塔に入ると声が聞えて来た。

 今度は人の顔は現れることはなかったが、変わりに上に登る階段と、透明な板が現れた。

 その透明な板には刻一刻と減っていく時間と攻略報酬リストというのが書かれていた。



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