第13話

「いってぇ

なんだ ここは」


溝の ような ところに 落下した

女と ニック

壁には スコップの 跡が

くっきり のこっている


「これが 塹壕か」


両手が 泥だらけに なった

ニック

とりあえず 女を つかまえる事 には

成功する


「なら チームの 領内だな よかった」


少し ホッと する ニック


「おらっ

大人しく しろって

ポテト 返せ」


急に あばれだす女を

なんとか おさえこむ


「ったく 手間かけさせやがって」


女から ポテトを うばい返す ことが

出来て へたりこむ ニック


「おい こっちか??」


急に 誰かの 声がして

身構える ニック

雰囲気的に 味方では ない


「ああ ここを 真っ直ぐだ」


誰かもう1人 シェルパが いる みたいだ

厄介な 事に なった

あわてて 女に 抱き付き クチを

手で ふさぐ


「シッ 静かに」


ギュッと 女を 抱き

位置を 知られないように

身を かがめる ニック


「んぐ」


土が クチに 入り 身を くねらす


「しっかし 死体だらけ だな」


懐中電灯で あたりを 照らし

つぶやく 男


「ああ 生きてるのは

頭を 撃ちぬけよ」


指示を 出す 男


「そんな こと わかってら」


半笑いの 男


「ウガァ」


いきなり 倒れて いたヤツが

男の 足に つかみかかり

かじり はじめる


ドンドン


2発の 銃声が 響く

さらに 身を 低く する ニック


「ちくしょう 噛みつかれた」


「ザーザー応答せよ

ポテトが 移動中 くり返す

ポテトが 移動中」


いきなり 無線が 入り ビクリと

する 男たち


「こちら バーボワン

もういちど たのむ」


無線が 不明瞭だった ので

聞きかえす 男


「バーボワン

ポテトを もった 女が 山小屋から 逃走

至急 確保 いそげ

オーバー」


山小屋に 目的の ブツが 無いと

いう イレギュラーを 知らせる


「ガッチャ

どっちに 行ったか 見たか

オーバー」


あせりから つい 声が 大きくなる


「そこまで 確認 とれない

そちらで 対処してくれ

オーバー」


ありのまま 伝える


「ガッチャ

確認する オーバー」


ため息 まじりで 返信する 男


「ったく 作戦が 裏目に出たぜ」


くやしがる 男


「かいかぶりすぎたな

こうも あっさり突破 できるとは」


味方の 被害を 最小限に する 目的で

住民たちの前に エサを ぶらさげ

突進させるという 作戦だったが

相手チームが 弱すぎて 大振りだった

事を 後悔する 男


「とりあえず 山小屋に 行こう」


まず 確認を とりたい 男


「ああ もう喰って なきゃイイがな」


イヤな 事を 言う


「急ごう」


ザッザッザッ・・・


足音が 小さくなって いく


「ンーンー」


苦しがる 女


「よし 行ったみたいだな」


耳を 研ぎ澄まし 他の人間が いないか

さぐる ニック

どうやら 作戦の 状況を 確認に来た

先見隊だろう


「あぁ わりいわりい」


やたら 女が クネクネ 動く ので

解放する ニック


「うぁ 飲んじゃった土」


うらみを クチにする 女


「大丈夫か??」


ニックの 問いに うなづく 女


「オレの 名は ニック

キミの 名前は??」


ここでは 早く 自己紹介しないと

あっという間に 命が 消えて ゆく


「・・・アーリントン」


ためらいながら 答える

アーリントン


「そうか

ここに いたら 2人とも ヤツらに

殺される 逃げなくちゃならない

わかった??アーリントン」


諭す ように 言う ニック


「・・・はい」


どうやら 素直な子の ようだ

もしかしたら ポテトが 本当に

欲しかった のは 親の 方だったの

かも 知れない


「よし イイ子だ

わるかったな かわいい顔が

泥だらけだ」


ニックは まだ 汚れていない

自身の Tシャツの すそで

アーリントンの 顔を ぬぐってあげる


「ウ・・・」


くすぐったい 表情を みせる

アーリントン


「どこか ケガして ないか??」


アーリントンの 両肩を 持ち 確認する ニック


「ケガは してない」


頬を 赤くする アーリントン

あえて 気持ちを 悟られないよう

冷たく 言う


「よし 行こう」


うながす ニック


「うん」


その頃


オフィスビルの地下


ジッジッ


「もう少し」


ネイスは 後ろ手に 縛られた ロープを

コンクリート打ちっぱなしの 壁に

出来た でっぱりに こすりつけ

切ろうと している


「あと ちょっと」


激しく 上下に ゆれる金髪


「やった 切れた」


ロープが 切れる タイミングで

足音が 聞こえる


ガチャ


男が 部屋に 入って来る

クリフォードだ


「食事を 持って来た」


おぼんに パンと スープ


「ちょっと 約束が 違うじゃない」


少し 怒って いる ネイス


「なんだ」


冷静な クリフォード


「新しい 人員を 1人増やしたら

ポテト 1個 もらえる はずでしょ??」


どうやら 裏取引が あるらしく

その事で トラブルに なって

いる


「ああ」


ため息 まじりで 返事する

クリフォード


「その 約束を 反故にした 挙げ句

こうやって 閉じ込めるって

どういう つもりよ」


事の 経緯を 問い ただす

ネイス


「キミは ポテトの 影響を あまり

受けて いないと 思って 利用して

きたが どうやら 俺の 勘違いだった

ようだね」


冷たい 言いかたをする

クリフォード

警察署の 内部の 録画を ネイスに

見せる


「これは コンビニまで 誘導する

ために やった事で 違うわ」


弁明する ネイス


「それじゃあ なんで そんなに

ヨダレが 出てるんだ」


クリフォードの 指摘どおり

大量の ヨダレを 流す

ネイス


「これは 縛られて いるから」


変な いいわけを 言う

ネイス


「違うな 昨日 ロサンゼルスに

行っただろう

なんのためだ」


ストレートに 聞く

クリフォード


「ちょっと 買い物が したかったの」


ごまかす ネイス


「本当は もっと本能的な 事が

したくなった そして

ロサンゼルスで 発散した

そうだろ」


語気が あらくなる クリフォード


「そうよ やりまくってやったわ」

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