第19話

「サンモルトの開発部長だぁ??

ツツッッーーぅ」


いきおいよく 立ち上がった ニックだが

殴られた 後頭部の 痛みで ふたたび

座り込む


「お前の せいで どれだけの人が

苦しんで いると 思ってんだ」


片眼を つむり 小声で 怒りを

ぶつける ニック


「ごめんなさい

部下が 作ったモノとは いえ

あたくしにも 責任の 一端は あるわね」


反省しきりの オオワクダニヤマ


「そりゃあそうだろ」


部下のせいと オオワクダニヤマが

言ったように 聞こえた ニック


「すごく わびたい気持ちなの

それこそ 下の穴から 腕を 入れられても

文句の一つも 言えないくらいに」


半笑いで おかしなことを 言う

オオワクダニヤマ


「本当に 入れてやろうか」


バキバキ


オオワクダニヤマの 態度に

指の関節を 鳴らす ニック


「ものの例えよ

あたくし まだ 出産経験は ないので」


鼻で 笑う オオワクダニヤマ


「お前なぁ

だいたい 開発部長にしては

見た目が 若いな」


単なる ペテン師かもと うたがいの目を

向ける ニック


「あら ありがとう

こう見えて 38なの」


あっさり 年齢を 言う

オオワクダニヤマ


「そうなんだ」


ズッコケる ニック


「でも 現役バリバリよ」


自分の 胸を揉み アピールする

オオワクダニヤマ


「あーはいはい

ポテトを喰ってる パターンね」


だんだん わかってきた

ニック


「うん ちょっと 食べちゃって

それから 疼いてしかたないの」


アゴを ぬぐう オオワクダニヤマ


「あー よく見る症状だ」


ニヤリと 笑う ニック


「ちょっと 人を 病人みたいに

言わないでよ」


困った表情を みせる

オオワクダニヤマ


「まぁ 内なる欲望を 解放して

くれるって すごく イイんだがな」


オオワクダニヤマの アゴを クィッと

する ニック


「でしょー」


頬を 赤らめる オオワクダニヤマ


「でも すごい効力だな

絶対 ありえないことが こんなこと

・・・」


アゴから 手を はなし 腕組みする

ニック


「うん」


ニックに 熱い視線を おくる

オオワクダニヤマ


「・・・なぁ コレって」


冷静になる ニック


「うん??」


不思議そうな 顔になる

オオワクダニヤマ


「ある意味 サンモルトのポテトは

兵器に なりうるよな」


とんでもないことを クチにする

ニック


「えっ どういうことかな??」


ヨダレを ゴクリと 飲み込みながら

半笑いで 首を かしげる

オオワクダニヤマ


「こいつを 敵対国に 植えると

そこで 争奪戦が 起き 最悪 内戦状態に

なる 可能性も ある」


静かに 語りだす ニック


「そんなこと 考えても なかったわ」


キョトンと する

オオワクダニヤマ


「それじゃあ 新しいポテトを

作ったヤツは どうだ」


核心を つく ニック


「彼は そんなこと・・・」


言いかけて クチごもる

オオワクダニヤマ


「心 あたりが ありそうだな

そいつの 名前は??」


眼光が 鋭く なる ニック


「カルディア・・・

まさか 彼が そんな悪いことを」


信じられないと いった表情の

オオワクダニヤマ


「ああ その可能性が ある」


苦々しい 思いの

ニック


「なんてことを

今すぐ カルディアを 止めないと」


あせりを 見せる オオワクダニヤマ


「カルディアは 今どうしているか

知っているか??」


居場所を 確認する ニック


「たぶん サンモルトの 研究室に

いるわ」


少し 考えて 答える

オオワクダニヤマ


「新作ポテトを 普通の ポテトと 見分けが

つかないよう 研究を しているのよ」


苦悶の 表情の オオワクダニヤマ


「サンモルトの社内か

どこか 行けるルートは ないか??」


直接 接触する チャンスを

さぐる ニック


「ゲートが あるけど

社員証が ないと 通れないのよ」


肩を すくめる

オオワクダニヤマ


「それなら オオワクダニヤマだけ

でも 社内に 入って カルディアを

止めて欲しい」


真剣な 顔をする ニック


「でも 社員証が」


目線を おとす

オオワクダニヤマ


「社員証が どうしたって??」


オオワクダニヤマの 肩を つかむ

ニック


「クリフォードって人に

没収されちゃったの社員証」


残念そうな 顔を する

オオワクダニヤマ


「なんだって??」


クリフォードの 意図を はかりかねる

ニック


「だから ここから 出ることも 出来ないの」


エリア内から 出られないと なげく

オオワクダニヤマ

結局 ニックと 立場は 一緒だという

事実に 一同から ため息が もれる


「参ったな」


クリフォードに 会えば 今 ニックが

隠し持っている ポテトに ついて

問いただされるだろう

ニックは ウソを つくのが

ニガテだから クリフォードに

尋問されれば ひとたまりも ない


「社員証は おそらく クリフォードの

デスクの 引き出しだと 思う」


特に 持ち歩く必要性が ないので

しまって あると 推測する

ニック


「それじゃあ ニックが 取りに行く

のね」


ホッと した表情の オオワクダニヤマ

久しぶりに このエリアから 出る

メドが たちそうな ことを

素直に よろこんでいるようだ


「いや ネイスに 取りに行って

もらうのが 無難だろう」


ネイスに 取りに行くよう はなを向ける

ニック


「エーッ

わたしが??」


自身を 指差し ビックリする ネイス


「なにか 都合が悪いのか??」


ぶぜんとした顔に なる ニック


「だって 必死に 脱出して

来たのに」


苦笑いの ネイス


「まぁ そうだよな」


ガクッと 肩を 落とす ニック


「ニックが チカラずくでも

モギ取って 来てよ」


チカラこぶを 出すような

仕草を する ネイス


「チカラずくって

もう いよいよだな」


辟易とする ニック


「でも 服装は 変えた方がイイかも」


目立たない服装に 変えることを すすめる

オオワクダニヤマ


「ああ でも ココには 売ってない

だろう」


周りを 見まわす ニック


「隣に ファッション専門店が あるから

アステーレ 案内して あげて」

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