第20話

シャッザザッ

シャッザザッ


ドーミーの 領地の高原に くわの音が

響く

育っている ポテトが 地面から

露出して 変色するのを ふせぐため

土を 盛る 作業をして いる

まぁ 結局 ポテトは 水玉模様に

なるのだが・・・

昼ごろ 激しい戦闘が あったとは

思えないほど のどかな光景だ

耕しているのは リーダーの シューメーカー

隣に立っているのは グーテンバーグ

護衛の兵士2人が 畑の周りを

一定の リズムで グルグル歩いて

いる


「ふぅ 今日じゅうには

終わらないな」


ドーミー側は 幸い 軽傷者5名ほどで

望外に 良い結果を得たことで

少し 舞い上がる気持ちの

シューメーカー


「今日は うまい酒が 呑めそう

ですわい」


グーテンバーグも 作戦の 成功を

手放しで よろこぶ


「ああ ここの ポテトも

いよいよ 収穫時期に なってきたし

順調だな」


鍬を 杖がわりにして 高原を

見渡す シューメーカー


「そうですじゃ

これで ギガンテスの メンバーを

全員 倒せれば 言うことなし

なんじゃが」


少し くやしそうな グーテンバーグは

シューメーカーが 深追いを 止めたことに

不満を 持っている


「うむ ヤツらも 次の作戦を 練っている

頃 だよな」


自身のアゴを なでつつ 空を 見上げる

シューメーカー


「まぁ その内容が わかれば 苦労は

しないがの」


唇を とがらせる グーテンバーグ


「なんとか 読んでみてくれよ

今後の 駒を」


グーテンバーグに 考えを聞く

シューメーカー


「わしの言う ことなんぞ

聞かんくせに」


プリッと する グーテンバーグ


「まぁまぁ そう言わずに」


右手を グーテンバーグの左肩に 置く

シューメーカー


「・・・昼の戦闘で 確かに

一方的な 勝利は得たが」


静かに 語り はじめる グーテンバーグ


「・・・が」


引っ掛かりを 感じる

シューメーカー


「うむ こちら側は 銃の あつかいに

慣れていない ズブの 素人集団じゃ」


珍しく 冷静に 発言する

グーテンバーグ


「うむ たしかに」


うなずく シューメーカー


「実は 何人も 倒したようで

急所を 確実に 撃ち抜けたか

はなはだ疑問じゃ」


崖の上から ターゲットまで かなり

距離は あったのは 事実で

雨の ように 鉛弾を あびせても

本体に 届いていない可能性は ある


「うーん そうかな

あれだけ 撃ちこめば

急所には 当たったんじゃあないか??」


勝利から 楽観視する

シューメーカー


「そうなら ええんじゃが」


首を かしげる グーテンバーグ

こういう時こそ 気を 引き締めたい

と 思っている


「とりこし苦労でしょ」


ニッコリ笑う シューメーカー


「かもな」


肩を すくめる グーテンバーグ

うね上げの 続きを やる

シューメーカー


それを 上空から 撮影する ドローン

そしてそれを 操縦する

キャサリン

ついに クルー 2人と 中継車のバンを

手配できた 彼女は

まずは エリア外の 車の中から キャサリンが

ドローンを 操縦して ユーチューブに

生中継をアップロードする


「ここには アーリントンは いないわね」


目を 皿のように して アーリントンを

探す キャサリン


「あまり 人に 近付くと 音で バレて

落とされる可能性が あるから

気をつけて 下さい」


クルーの 一人が 笑いながら言う


「ええ 忠告どうも ありがとう」


しゃべりかけて来た クルーの 男には

いちべつも くれず 画面に 集中する

キャサリン


同時に アップロードされている ライブ映像

の視聴者が どんどん 増えていく


「これ なんの映像だろ」


一方その頃


「ちくしょう

負傷者は 何人だ

何人 死んだ!」


怒鳴りちらす ダーリュウ


「ただ今 被害状況を 確認中です

しばらく お待ち下さい」


男が 報告する


「しばらくしばらくって

何分 待てば イイんだ」


テーブルを ひっくり返す

ダーリュウ


「ダーリュウ 少し 落ち着こうぜ

完全に 負けた わけじゃあない」


ダーリュウに 冷静になるように

諭す ランスール


「むぅ」


言葉を 押し込める

ダーリュウ


「これから どう逆転勝利するか

だろ」


右手を ヒラヒラさせる

ランスール


「まぁ そうだな」


しぶしぶ 納得する ダーリュウ


「戦況は こちらが 圧倒的に

不利に なった」


忌憚なく言う ランスール


「うん」


うなずく ダーリュウ


「ここで ドーミーの 陣地に

闇討ちしようとかは ダメな

発想だからな」


クギを 刺す ランスール


「えっ ダメか??」


心の内を 読まれて ビクッと なる

ダーリュウ


「やっぱり それ 考えてたでしょ」


やはり図星だと 言う 顔の

ランスール


「うん」


うつむく ダーリュウ


「それは ヤツらの 思うツボ」


ビシッと 指摘する

ランスール


「そうかな~」


首を かしげる ダーリュウ


「ここは 一番 弱っている 警察チームの

事務所を 確実に 取って 拠点を

増やし ポテトを 分散させる

方が 得策だろうと 思う」


戦略を 言う ランスール


「なるほど ヤツらは 2つの拠点を

同時に 攻める能力は ない」


納得する ダーリュウ


「そう

一方が 攻められている時に

サイドから 突く」


手刀を 振り下ろす

ランスール


「そうすれば 総崩れに なるな」


腕組みして ペコリと 頭を さげる

ダーリュウ


「でも その作戦が 読まれたら

ここを 落とされるかも・・・」


最悪の 事態が 頭を よぎる

ダーリュウ

一つ 判断を ミスすると

確実に 死者が 増える 結果になる


「どのくらい こっちの守備に

割けるか・・・」


頭を かかえ悩む ダーリュウ


「逆に 精鋭5人で

警察チームの 事務所を

攻めるのが イイのかも」


ポンと 手を うつ ランスール


「5人で イケるのか??」


いぶかしげに ランスールを 見る

ダーリュウ


「イケるっしょ

一人5個ずつ ポテトを リュックに

入れて 持って行く」


細かく 話を つめる ランスール


「簡単に 言ってくれるね」


ニヤリと する ダーリュウ


「これで もし どっちかの 拠点が

落とされても 半分はポテトが 残る」


冷静に 話す ランスール


「うん それが イイのかもしれない」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る