第38話

「うっわー グロー」


ユーチューブ動画の 生中継を 見ながら

夜食を 食べている フォークが ピタリと

止まる

キャサリンと モーテルに 行ったクルーとは

違う方の クルーが 画面を

食い入るように 見ている


「すごいな

リアルガチかよ コレ」


ボリツクルが アーリントンの画像を

表示させようと 持って行ったタブレットは

ビデオチャットで 常時接続されており

バリボリと 食べられるところが

生中継で アップロードされた

ユーチューブは ツ・イッターで 拡散され

視聴者を 増やしつつある


一方 その頃


「ふぅ スッキリした~」


ニックが 公園の トイレから 出る時に


「トイレトイレーっ」


急いで 入って来る 人物と 鉢合わせになるが

どこかで 見知った顔だ


「グーテンバーグ!」


やっと 会いたかった人物に 会えて

思わず 声が 大きくなる ニック


「おわッ

ニックでは ないか・・・」


ものすごく ビックリした顔に なる

グーテンバーグ


「なんで こんなところに」


疑問が わく グーテンバーグ


「会いたかったぜ

いろいろ聞きたいことが あるんだ」


ニヤリと する ニック


「ちょっと 待て

先に すませてから 聞いてやる」


もれそうな グーテンバーグ


「ホントだな??

お前が 少年を 撃った件のこと」


グーテンバーグの 腕を つかむ

ニック


「・・・」


黙りこむ グーテンバーグ


「どうなんだ」


腕を グイグイと 引っ張る

ニック


「話すから 離せ」


顔色が 悪い グーテンバーグ


「おう」


グーテンバーグの 腕を 離す

ニック


「ふぅ あっぶなかった・・・」


スッキリした 顔の

グーテンバーグ


「さあ 話してもらうぞ」


グーテンバーグが トイレから

出ないように ガードする

ニック


「・・・」


ニックの 顔を 見る

グーテンバーグ


「どうした??」


空気が 張りつめる


「たしかに お前の撃った 弾は

大ハズレし わしの撃ったのが 少年に

当たった」


ついに 語りだす グーテンバーグ


「なぜ それを 黙っていたんだ??」


核心に せまる ニック


「わしは すぐに 言うつもりだったのだが

忖度が あった」


首を 横に ふる グーテンバーグ


「なんだと」


また グーテンバーグの 腕を つかむ

ニック


「定年間際の 不祥事だ

その後の 人生が めちゃくちゃになると

キミに 押し付けた 格好に なった」


苦しそうに 言葉を 発する

グーテンバーグ


「それじゃあ オレの 人生は??」


胸ぐらを つかむ

ニック


「すまないとおもっている」


ゆっくりと 目を 閉じる

グーテンバーグ


「なんだよそれは」


右手で 拳を つくるが チカラが

ぬける ニック


「・・・」


沈黙の 後

胸ぐらを 離す ニック


「まぁ しょうがねぇ

あと このトイレ 淫乱が出るから

気をつけな」


意味深な 発言をし トイレを

あとに する ニック


「へ??」


ドアの 開いている個室を 見る

グーテンバーグ

裸の女がいる


「うわっ」


腰を ぬかし その場に へたりこむ


「アーッ」


気が 付くと 少し 空が 明るく

なってきている


「やっと ついたぜ

オオワクダニヤマ邸に」


こじんまりとした 一軒家だが

庭も ある 一般的な家だ


「うん??

玄関が 開いてる」


ドアを 引くと カギが かかって ない

いやな 予感がする

ニック


「おじゃまします」


中は 電気が ついていて 明るく

特に 荒らされた 形跡は ない


「ンーンー」


奥の 方で 声がする

寝室を 確認すると オオワクダニヤマが

縛られ クチに 布が 巻いてある


「大丈夫か??」


クチの 布を 取る ニック


「はぁぁ 助かった」


だいぶ 苦しかった みたいだ


「なにが あった??」


ロープを ほどく ニック


「リーリーナという 女に

縛られて・・・」


ピタッと 動きが 止まる ニック


「リーリーナって さっき」


「えっ」


言いかけて やめる ニック

やっとロープが 外れる


「いや なんでもない」


ごまかす ニック


「サンモルトの 研究者なの 彼女」


ニックの 様子が おかしいので

正体を 言う オオワクダニヤマ


「あっ そうなんだ」


ビクリと する ニック

知っていたらと 後悔する


「それは そうと キミの 社員証

ちゃんと あったよ」


ポケットから カードを

取り出す ニック

これで 脱出 できると

安心する ニック


「あっ 本当ね

これで 勝手口から 入れるわ」


なにか 引っかかる 言い方を する

オオワクダニヤマ


「うん??

勝手口って サンモルトの??」


なにかが 思っていたのと 違うと

感じる ニック

笑顔が ひきつってくる


「そうよ

もしかして 外に 出られると

思ってた??」


察して 同情する

オオワクダニヤマ


「いや なんとなく・・・」


ニックは フェンスと サンモルト社の

間が あいていて そこから

エリアの 外に 出られると 思って

いたが その勝手口が 境目だと

いうこと らしい


「行ってみたら わかるけど

サンモルト社の 中を 通らないと

エリアの 外には 出られないのよ」


身振りを 交えて 説明して くれる

オオワクダニヤマ


「マジかぁー」


ガックシと 肩を 落とす

ニック


「でも すぐ 正面玄関から 出れば

イイんじゃあないか」


腕組みする ニック


「それが 正面玄関には ビームハチドローン

が いて 顔認証で 部外者を 見つけると

ビームを 撃たれるの」


ニックの 胸を ツンと 突く

オオワクダニヤマ


「マジかよ 最新式だな

でも ビームったって」


ビームっても 名前だけと 思って

鼻で 笑う ニック


「当たれば 死ぬわ」


腕組みする オオワクダニヤマ


「・・・マジか」


ショックを 受ける ニック

いち民間企業で 人が 死ぬレベルの

ビームを 出す ガードロボが 導入されて

いる


「それじゃあ どうすれば エリアの 外に

出られるんだ??」


万策が つき あせる ニック


「それに ついては イイ案が あるわ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る