第12話

ドドドドッ


ドアの外から 山小屋の中へ

射撃する 人がいる

ニックは とっさに しゃがんで

様子を 見る


「ウブブブ」


銃弾を 喰らったのは ニックが 足を

撃って 倒れていた おっさんだ


「ああっ」


女は 背後からの 不意打ちで

呆然と 立ち尽くす


「誰だっ 誰が 撃った??」


ニックは 警戒しつつ

ドアの 方へ 徐々に 近づいて 行く


「誰だ!」


ニックが ドアの ところまで 行くと

うつぶせに 倒れている 人物がいる


「・・・ムゥ」


少し 息は しているようだ


「動くな」


ニックが 近寄って あおむけにすると

リーダー風の 男が 血まみれに

なっている


「おい しっかりしろ」


ニックが 男の 上半身を 起こす


「ぅあぅ・・・

まったく オレが やられちまう

なんてな・・・」


リーダー風の 男は 申し訳なさそうに

言う


「どうした なにがあった??」


少し 興奮気味に 聞く ニック


「狂った 住民たちに ここを

襲わせ ころあいを 見て

攻撃する 算段だろう・・・」


あくまで 冷静に 現状を 語る

リーダー風の 男


「なんだ こいつら 敵じゃ

ないのか」


敵の 本隊じゃない ヤツらに

窮地に 追い込まれたと

知って がくぜんと する ニック


「いや 向かって 来る ヤツらは

全員 敵だ」


激しく言う リーダー風の 男


「あと 1つ 聞きたいんだが」


ニックは どうしても 確認したい事が

ある


「・・・なんだ」


かなり 苦しそうに 言葉を

発する リーダー風の 男


「山小屋の中の タブレット

あれ ユーチューブか なにかで

配信して ないか??」


先ほど 画面を 確認した時

違和感を 感じた ニック


「我々は して いないが

他の チームは している

どうして それに 気付いた??」


図星だ


「下の 方の 画面に

投げ銭を している 映像が ながれて

いて それで 気付いた」


理由を 説明する ニック


「あぁ よく 気付いた

ゲホッゲホッ」


吐血する リーダー風の 男


「もう しゃべるな」


男の 背中を 支えていた ニックの手を

頭まで ずらす


「たのみが ある」


話し 続ける リーダー風の 男


「いや もう黙ってろ」


それを 制する ニック


「心臓が 止まったら

頭を 撃ちぬいてくれ」


リーダー風の 男が とんでもない事を

言いだす


「え??

なんだ よく わからない」


とっさに 聞きもらす 反応を する

ニック


「イイから 言うとお・・・」


チカラが 抜けたようになる

リーダー風の 男

首を さわり 脈を みるが 反応が

ない


「おい しっかりしろ」


少し 揺すって みるが

もう冷たくなっている


「ちくしょう」


叫ぶ ニック

その時


ブシュッ


「えっ」


女が ほうちょうで 男の 背中から

前に 飛び出るほど 激しい

ひと突き


「・・・それで イイ」


リーダー風の 男は ボソッと

言う


「おい お前 なにやってんだ」


ニックは 女に 怒る


「・・・だって こいつ

おとうさんを」


目に なみだを 浮かべる 女


「だからってなぁ」


もう なにがなんだか わからない

ニック


「撃ってくれ」


リーダー風の 男が

なぜか 言葉を 発している


「お前も 心臓が 止まってるのに

なんで しゃべれるんだよ」


あきれ顔の ニック


「オレも あの サンモルトのポテトを

喰っちまってる からよ」


半笑いで 語る

リーダー風の 男


「いや でも お前 死んでんだよ

心臓 は 止まってるし

しかも ほうちょう 突き出てるし」


確実に 死んでいるヤツが 言葉を

言っている

ロサンゼルスでも 経験した事が

ない


「最初 我々も 不思議だった

交通事故死して死亡診断書も

出ているのに 次の瞬間には

ピンピンしている

精密検査しても 死亡して いるのに」


とうとうと 語る リーダー風の 男


「わかんねえ

そんな 話 今まで聞いた事ねえぞ」


ニックは 初耳な 事ばかり

目の前で 展開され 気分が悪い


「ここに いれば じきに わかる」


あきらめに 似た 事を 言う

リーダー風の 男


「いや そんなの

聞いた事ねえし 受け入れねえ」


頑なに あらがう ニック


「現に オレの胸に なにか 刺さっている

だろう」


リーダー風の男は 右手で つき出た

ほうちょうを 握ると 前に 引っ張り

出す

そして 森の中に 投げ捨てる


「これは なにかの アレだろ

おかしいよ」


イリュージョン的な なにかだと

思う ニック


「・・・」


急に 黙りこむ

リーダー風の 男


「なんとか 言ってくれよ」


男を 少し ゆらす ニック


「・・・ポテト持ってないか」


雰囲気が おかしい

リーダー風の 男


「・・・へっ」


急な 事に 面食らう ニック


「持ってるんじゃないか ポテト」


なにか 記憶の 回路が どうかして

いるようだ


「えっ どうした いきなり

言動が」


動揺する ニック


「持ってたら くれよ」


ニヤニヤしている

リーダー風の 男

さきほどまでとは 別人の ようだ


「・・・なるほどな」


ニックは 悟った

そして 全部 うけいれる


「ポテト 持ってるだろ」


問い かける

リーダー風の 男


「やめろ」


小声で うめく ニック


「なぁ くれよ」


笑いかける リーダー風の 男


「やめろ」


命令する ニック


「ポテトくれよ」


駄々っ子の ように すねる

リーダー風の 男


「やめてくれーッ」


叫ぶ ニック

その 横を すり抜ける ように

女が 出ていく


「はッ おい待て」


山小屋から 女が 走りさる

ニックは イヤな 予感が して

中に 入って 確認する


「やられた ポテトが ねぇ」


こいつらが 必死に 守った ポテトが

盗まれ 頭に 血が のぼる

ニック


「待て ポテト 返せ」


だんだん 目が 暗闇に なれてくる


「ハッハッハッ」


女も ポテトを 奪われないように

必死に 走る


「止まれ

止まらないと 撃つぞ」


ニックが そう言うが

撃てない事が バレたのか

止まる 気配が 一切 ない


「ちくしょぉ

どっち見ても 死体だらけだ」


足元に 転がる死体で すべって

なかなか 前に 進めない


「待てよー トラップが あるんだ」


女に 注意を 呼びかける ニック


「ハッハッ キャッ」


どこかに 落ちる 女


「なんだ いきなり 消え

うわッ」

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