第7話

「俺の名は クリフォード

兄は サンモルトのCEO

父は キミに 会った事 あるよね

転落死した 署長だよ」


ひどく 冷静だ

まるで 血が かよっている声ではない

クリフォード


「なん・・・だと」


死んだ 署長の 息子に 拉致された

その 事実だけでも ゾッと 背筋が

寒く なる


「それで オレへの 疑いは

はれたん だろう??」


あくまでも 平静を たもつ

ニック だが

多少 声が ふるえている


「もちろん いちぎてきにはね」


鼻に ぬけるように 言う

クリフォード


「なんだ 遠因と でも 言いたげ

だな」


憤懣な 顔をする ニック


「まぁ その話は おいおい すると

してだ

キミも 同じ 署員なら 同じ チームで

このゲームに 参加して

欲しいんだが」


やはり 生気が ない 口調の

クリフォード


「それで 断ったら??」


ニックは のけぞりながら 聞く


「敵のチームに 入る事を

考慮すれば この場で

射殺することに なる

それで イイか??」


そう言うと クリフォードは

イスから スッと 立ち上がり

左肩の ホルスター に 入れてある

銃を 素早く 抜き 流れるような

コッキング動作で ニックに

銃口を 向ける


「ハハハ

警官 が 警官 に 銃を 向けるだァ

じょうだんも 休み 休み 言え

ってんだよ

撃てるもんなら 撃って みろ」


激しく 挑発し 出方を 見るため

思い切り 悪態を つく ニック


パーン


引き金が 引かれ グロックの 先端

から フラッシュが 焚かれ

弾丸が 飛び出して くる


バキッ


イスの 4本 ある 脚の 1本が

はじけ飛び ニックは

なさけなく 地面に 転がる


「いってぇ」


(こいつ マジ いかれてんな)


地面を はいつくばる ニック

あたりを くまなく 確認する

この部屋には ニックと

クリフォードの 2人だけ


「大人しく 言う事を 聞かなければ

次は 命を 狙う」


冷たく 響く クリフォードの 声に

ピタリと 動きを 止める ニック


「おい」


大声を 張り上げる ニック


「なんだ」


けげんな 表情の

クリフォード


「ネイスは・・・

ネイスを どこに やった??」


ネイスの 姿が 見当たらない

別の所に いるなら

無事か 確認が 出来ない


「自分の 心配より

女の事が 気に なるのか」


半笑いに なる クリフォード

一応 感情は あるらしい


「ネイスを 解放しろ」


クリフォードの 説得を

こころみる ニック


「ああ お前が 俺の 言う事を

聞きさえ すれば すぐにでも

解放 してやるさ」


肩を すくめ 不適な 笑みを

うかべる クリフォード


「絶対だな 約束だぞ」


ニックは しぶしぶ クリフォードの

要求を 飲む ことに する


「では 本題に 入ろう」


ゴトッ


クリフォードは 銃を デスクに

置き 口調に 冷静さが もどる


「ああ」


ニックは 後ろ手に 縛られたまま

地面に あぐらをかく


「我々の チームは 今 連敗 続きで

非常に 劣勢に 立たされて いる」


砂を かむ ような 表情になる

クリフォード


「へぇ そうかい

知った こっちゃねえよ」


悪態は やめない ニック


「とある ゲームを していて

チームは 3チームあって

それぞれ 拠点に ポテトを 置き

それで 相手陣地 の 拠点の

ポテトを 奪いあう ゲームさ」


ニックの 態度を 意に介さず

説明を 続ける クリフォード


「くだらねえ

警察官なら 令状を とってだな」


肩を ユラユラさせ ながら

講釈する ニック


「しかし それで 証拠品として

押収した ポテトは 喰えるかね」


指を くみ アゴを 乗せる

クリフォード


「・・・それは 喰っちゃあ

いけねえし 本来の持ち主に

かえす べきだな」


イラつきを 抑え つつ 静かに

さとす ニック


「それでは 我々のクチには

入らない」


ギシッ


クリフォードが 背もたれに

のけぞり イスが きしみ

両手を 広げる


「お前 それ 本気で 言ってんのか」


さすがに 我慢の限界が 近い

ニック


「もちろん 本気だ」


天井を 見つめる クリフォード


「おかしな事を 言っている

自覚が ねえのか??」


問いただす ニック


「もちろん おかしな事を

言って いる 自覚は どこかに

ある」


遠い目を する クリフォード


「どこかに・・・

正気かよ」


鼻で笑う ニック


「ああ むしろ クリアーだ」


真顔で ニックの 目を 見る

クリフォード


「お前も この町の 連中も

サンモルトのポテト 喰って

イカれちまったって そういう

事かよ!」


大声で 威圧する ニック


「しかし ここでは ここの

ルールに したがって もらう」


キッと 鋭く にらむ

クリフォード


「ああ

でも 拠点に ポテトを 置いたと

ダマす事も できるよな」


仕方なく ゲームの 内容を 聞く

ニック


「それは 出来ない

共通の ビデオチャットで

しっかり 賞品は 監視されて

いて 不正は できない

システムだ」


朗々と 語る クリフォード


「なんだよ 無駄に 周到な

システム つくりやがって」

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