第2話 片田舎
「腹へったなぁ」
歓迎パーティーを期待して、朝からなにも食べていないニック。
「完全に 裏目に 出たなぁ」
おそらく、時間的になんらかの食事が提供されてもイイ頃だ。
「おーい 無実なんだ
出して くれよ~」
他に、誰も入っていないのか静寂が支配する。
「おい お前 ポテト 持ってねえか」
突然、となりの房から声がしてビクッとな
る。
「ああ 人が いたんだ
ポテトは 持ってない」
ニックは、辟易としながら答える。
「そりゃ 残念だ
オレが ポテトの事 話したって言うなよ」
男は、なにかにおびえているようだ。
「この町の 連中は
ポテトが 大好きみたいだな」
ニック自身は、ポテトにそこまで執心では
ない。
「いや ポテト全般が 好きってワケじゃねえ
ステーキの 付け合わせなんか喰わなかった オレがサンモルトの新作試食会に たまたま行く事が あってひと口で とりこになってしまって」
ゴクリ
隣のヤツは、そこまで言うと激しい音が するほど つばきを飲む。
「どうした 大丈夫か??」
饒舌に、かたっていた男が急にだまるので 心配になるニック。
「ああ 大丈夫だ
ポテトを 想像しただけでヨダレが 出ちまう」
そうとう、お腹が減っているのかポテトの 魅力に胃袋をつかまれているのかあるいは その両方か。
男は、ポテトに異常なほど粘着しているようだ。
「なんか 単に ハマるってレベルじゃないな」
なにかしらの、違和感を感じるニック。
「サンモルト社の ポテト・・・
片田舎で 退屈するかと 思いきやなかなか 楽しめそう じゃないか」
ガチャ
留置場のドアが開き、誰か入ってくる。
「おい 無実なんだ !」
ニックが、必死で訴えるその人物は 知っている顔だ。
「ネイス !」
内心、ホッとするニック。
ネイスが、有利な証弁をしてくれるかも知れない。
「署長室の 防犯カメラを確認したわ」
言葉を、選ぶように語るネイス。
「それで」
「あなたは とりあえず 出てイイわ」
ネイスは、しずんだ声で言う。
「やった 助かったぜ
サンキュー」
ガッツポーズをするニック。
「こっちに ついて来て」
言葉に、全然生気がない。
「どうしちゃったんだ」
途中の、廊下で女の上に男がまたがりおさえつけ腰をふっている。
「おい 署内で なに やってるんだ」
ニックが、男につかみかかろうとするとネイスがニックの肩をつかみ制する。
「そんなの かまっている時間が ない
のよ」
ネイスに、言われるまま先を 急ぐ。
「なんだよ
色々フリーな 所かよどうなっちまってるんだ」
少し、頭が混乱するニック。
「ギャーギャー わめくな! 今度は 留置場じゃなく病院に 隔離するぞわかったか」
突然、キレるネイスにあぜんとするニック。
「まぁ そうキレんなって
冷静に いこうぜ」
ネイスをなだめるニック。
「そうね ちょっと 色々 ありすぎて
ナーバスに なっちゃったのかも
ごめんなさい」
シュンとなる ネイス。
「イヤ イイんだ
それより 事情が 知りたい」
状況を、確認しないと身動きがとれない。
初めて、来た所でなおさらだ。
「うん これから 会議室で
説明するから 急いで」
手招きで、うながすネイス。
「ああ たのむよ
君だけが たよりなんだ」
会議室の、ドアを開けると薄暗くプロジェクションの 明かりだけが煌々とたかれている。
「わたしたちは 半年前から
大問題に 直面して いるの」
ネイスの、突然の説明にめんくらう ニック。
「単刀直入に 聞くわ
あなた この町で ポテトを食べた 食べてないどっち ??」
多少、イラつきながらネイスが 聞く。
「いや 歓迎パーティでも あるんじゃないかと思って なにも 食べてない」
肩を、すくめて正直に言うニック。
「それ 本当ね? ウソだったら 頭を 撃ちぬくけど」
リボルバー式のピストルを、ホルスターからぬきニックの頭に銃口をつけるネイス。
「おい 本当だ
ヤメてくれ」
中腰になり、両手をあげるニック。
カチャ
「やめてくれ
本当に 死にたくねえ」
銃口の、冷たさで背筋が凍りつきそうな感覚になるニック。
「ふふっ
一度 やってみたかったの」
急に笑い声になるネイス。
「おいー
かんべんしてくれよ
タマは 入ってないんだろ」
ドキューーン
雷でも、落ちたような爆音が響き机にこぶし大の穴が開く。
「ヒエッ」
おののくニック。
「ちょっち 手に ダメージが
出ちゃうのよ このマグナム」
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