第3話 行き過ぎの産物
警察署は、ハナ市の南側にある。
現在、署の北側Vラインに規制エリアが広がっておりサンモルト社も、エリア内だがサンモルト社と警察署をむすぶルートは規制エリア外になっている。
バンバンバンバン
「ひぃぇーーー」
サンモルト社の研究者フリームスは新製品開発者だが、さんぱつてきに聞こえてくる銃声に辟易としている。
「もう いやだ ぼくも 研究者をやめます」
フリームスは、半狂乱で開発主任のカルディアにくってかかる。
「まぁ そう言うなよ
俺が 開発した 新商品で もっとおもしろく なるぜ」
カルディアは、不適な笑みをうかべて、
「これで 億万長者だ俺はァ」
と、両手をたぎらせ天井をあおぎ見る。
「あなたは 変わってしまった」
しずんだ 声で、カルディアをにらむフリームス。
「変わってなど いない
フタが ひらいたと 言いなさい」
首が、変な角度になりニヤリと笑いながら フリームスを見下ろす カルディア。
「半年前だ その頃から・・・」
半年前
「あの 変わった 模様のついたポテト 量産に 成功しましたね」
そのポテトは、見た目が収穫した時から水玉模様がついており研究者たちをザワつかせたが、虫は寄って来ないしカジれば即死。
でも、人間には無害で味も最高と まさに 研究者の血と汗の結晶を 地で行くような製品だ。
「やったな このポテトが
あれば 食糧難を すくえる まさに
救世主だ」
サンモルト社の、ブライアンジュニアスイートCEOは鼻たかだかといった面持ちだ。
「こんなに ポテトを うまいと
思ったのは 初めてです」
研究者も、フォークを持つ手がふるえるほどうまさを実感している。
「よし これで一儲けしようではないか」
ブライアンジュニアスイートは、久しぶりの手応えを感じている。
「ただ ボトルネック なのが
見た目が 水玉模様ってとこだよな」
開発主任の、カルディアが重いクチを開く。
「よし 町の人を 集めて
大試食会と いこうじゃないか」
ブライアンジュニアスイートの提案で、ハナ市の住人を集める事になった。
そして、半年前に試食会がおこなわれた。
「すごく 美味しいんだけど
見た目がねー」
地元の、農夫は首をかしげて、
「おいしいのよ
でもね~」
主婦の、反応もかんばしくはない。
やはり、見た目が水玉模様のポテトがサンモルト社から新発売とあってほとんどの人は 様子見だった。
その、当日だけは。
次の日、サンモルト社の前には長蛇の行列が出来て、
「すごい行列です
この町の どこにこんなに人が いたのでしょう」
と、地元のケーブルテレビのアナウンサー兼リポーター兼編集のキャサリンが会場前で 取材をしている。
試食会は、大成功に終わり何件かの注文が入る事となった。
「やった
あのポテトの 新たな船出に 乾杯」
研究者みんなで、成功を祝いパーティーを 開く。
「大変だ! 出荷した先で 次々強奪されて いるみたいだ」
サンモルトの社員が、パーティ会場に飛び込んで来た。
「えっ ポテトを 強奪??
でも それは サンモルト社とは関係ない話よね」
開発部長が言う。
「それが 強奪犯が サンモルトの倉庫も ねらっているって事らしいんです」
社員が、肩で息をしながら言う。
「えっ それ どこの情報??」
開発部長は、顔色が変わる。
「警察です」
社員が、そう言うと会場内がザワつきはじめる。
「それは 大変ね
すぐ 警備員を 増員しないと」
開発部長が、そう言うと、
「いえ もう警察が バリケードを
サンモルト社を囲むように作っています」
社員が、おかしな事を言うと、
「なんだって
それじゃあ 俺たちは締め出されたのか」
と、かなり怒りがこみあげてきたカルディア。
「いや 社員証が あれば 中で研究は 続けられるらしい」
その言葉で、一応みんな納得したように 胸をなでおろす。
「しかし バリケードねぇ
いうても カラーコーンを並べた だけでしょ」
次の日
社員は、きょうがくの光景を目の当たりにする。
コンクリートブロックにフェンスが付いたのがズラッとサンモルト社を囲むように設置され、ご丁寧にビョウで地面に打ち付けてありフェンスの上には有刺鉄線が巻いてある。
「これ ガチなヤツ じゃん
ガチエリア じゃん」
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