第4話 本質の退行

 火薬の、ニオイが たちこめる中、目の前の机にあいた大穴を見つめニックは後悔する。


(この女 絶対 ヤバいヤツだ

このままだと こいつに 殺されかねん)


「な・・・なぁ

そんな 物騒な モン しまったら どうだい」


 慎重に、言葉を選び説得するニック。


「ん? 今 ちょっと耳が

なんて 言ったの」


 ネイスの、持つ銃がニックに向く。


「あっ ぶな」


 ニックは、条件反射でリボルバーのドラム

部分を押さえる。


「ちょっ なに やってるの」


 ニックの、顔面にパンチをくり出すネイス。


「負けねぇぞ」


 数発、殴られながらも拳銃をうばい取れたニック。

 すばやく、弾を全部地面に落とす。


パラパラ


「ふぅ

署内で マグナムを ぶっぱなす

ヤツが いるかよ!!」


 ガチ切れするニック。


「アハッ

ビックリした??」


 一気に、肩のチカラが抜けるニック。

 その頭を、なでるネイス。


「もう かんべんして くれ」


 この町に来て、変なヤツばかりでロサンゼルスよりのんびりできると思っていたのにアテがはずれまくっている。


「ってか

こんなに デカい 音が 鳴ったのに誰も 来ない のな」


 朝には、数人いた署員たちもいないらしく 静寂が支配している。


「みんな ゲームに 夢中なの」


 あきれたように、言うネイス。


「ゲームって 勤務中に」


その時


パンパンパンパン


 遠くの方で、銃声が響く。


「なんか 銃声が 聞こえ なかったか??」


 身構えるニック。


「うん いつもの事だから」


 ニッコリと、答えるネイス。


「いつもの事って??」


 なにか、知らなくてイイ事を聞いて しまっていると感じるが聞かずにいれない。


「リアル サバゲー を やってんの」


 あっけらかんと、答えるネイス。


「リアル サバゲー??

なんだ そりゃ」


 新しい、フレーズに頭がもってかれると感じるニック。


「サバゲーって プラスチックの

弾を 使うのが 普通 じゃん」


 机の上に座り、右手をフワフワさせ説明するネイス。


「まさか 実弾を 使うって 事か」


 寒気を、感じるニック。


「そっ」


 あっさりと、言葉を発するネイス。


「そんな事 ゆるされる ワケ ねー

じゃん」


 頭が、沸騰しそうなほど血がのぼるニック。


「だよねー」


 生気がなく、答えるネイス。


「また ウソ ついて かつぐつもりか」


 ネイスの、態度から少しうたがう。


「うーん ウソ じゃあ ない かもよ~」


 ニタァァと、笑うネイス。


「ネイス お前」


 と、言いかけクチを閉じる。

 今は、彼女だけがたよりなのだから関係の 悪化は、さけなければならない。


「あっ あのさ」


 苦笑いするニック。


「なーにー」


 足を、バタバタさせながら言うネイス。


「ちょっと お腹へってて 食べ物とか

持って ないかな」


 やんわり、持ち物をさぐるニック。


「それだったら 警察署の裏にコンビニがあるよ」


 指さしながら、答えるネイス。


「それは ありがたい」


 こんな、ド田舎でコンビニは助かる。


「でも ポテトの入ってるのは

食べないほ・・・」


 そこまで、言いかけクチを閉じるネイス。

 ふと、隣の房にいたヤツを思い出す。


「ああ うん わかった

ちなみに ネイスは ポテト 食べて

ないんだよね」


 言葉を、えらび慎重に聞くニック。


「あーうん 半年前に 食べたっきり

食べて ない」


(いや 食べてんじゃん)


「あーそう 半年も よくたえたね

エライ エライ」


 とりあえず、ネイスを刺激しないように ほめる ニック。


「わたしー エライ??」


 満面の、笑みを見せるネイス。


「うん よく がんばったね」


 今度は、ネイスの頭をなでてあげるニック。


「あはは くすぐったいよ」


 ニッコニコのネイス。


「サンモルトの連中

タダじゃおかねえぞ」


 怒るニック。


「それなら 装備を ととのえ

ないと」


 急に、饒舌になるネイス。


「おっ おう」


 あっけに、とられるニック。


「これ 押収品の リストね

弾数は 多くないから それだけは

気を つけてね ニック」


 急に、タブレットをわたされドギマギする ニック。


「オレ なにか 変な ことに巻き込まれてるんじゃ ないか

なんか ずっと 悪い夢でもみさせられて いるんじゃないのか」


 少し、混乱するニック。


「それじゃあ

わたしと 会った ことも??」


 ちょっと、不安そうな顔をするネイス。


「いや キミとの 出会いは

最高だよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る