第14話

ネイスに つかみかかろうとする

クリフォード

しかし ネイスの ロープは 外れており

クリフォードの 右腕を つかみ

横に 振ると クリフォードの 顔面が

コンクリート壁に ぶち当たる


ボコッ


「わたし もう決めた 人

いるから」


ネイスは そう言うと 顔を

おさえ うずくまる

クリフォードの

側頭部の こめかみを ヒザで

思い切り 蹴りとばす


「グァーッ」


気絶して グッタリなる

クリフォード


「バイバイ 副署長」


そう言うと 地下を 後にする

ネイス

ビル内は シーンと 静まり返っている


「ニックを 探さないと」


ニックの 名を クチに しただけで

ヨダレが 止まらない ネイス


「わたし・・・」


そこで 言うのを やめる

ネイス


その頃


「ちくしょう ポテトが ねえ」


いら立ちを 抑え きれない 男


「ああ 山小屋の中は 誰も 居ねえし

どこ行ったんだ」


死体も なくなって いる


「そう 遠くまで 行ってねえだろ」


あせる 男たち


「早く 探そう」


親指を 立て 外を さす 男


「おう」


目を 皿にして 探す


「ハァハァニック」


アーリントンが つないだ手を 引っ張る

かなり しんどそうだ


「ハァッハァッ

どう・・・したんだ??」


手を 引っ張られ 立ち止まる ニック


「足が 痛いの

もう走れない」


何回か トラップを よけながら

走り 体に 負担が かかって いる


「えっ 困ったな

全然ダメかな??」


へたりこむ アーリントンに 困る

ニック


「うん もう ここへ おいていって」


歩くこと すら 放棄する アーリントン


「そんな 事 出来るわけ

ないだろう

おんぶするから 背中に 乗って」


立ち止まった ままより マシだと

割りきる ニック

アーリントンの 前で しゃがみこむ


「・・・うん」


ニックの 背中に 乗っかる

アーリントン


「よし いくよ」


アーリントンの 脚を つかみ

よろけながら 立ち上がる

ニック


「うん」


ニックに しがみつく

アーリントン

しばらく 走って いると


ズザザッ


「ウワッ ここにも トラップ」


落とし穴に 落ちる 二人

先に 手榴弾が 炸裂して いるようで

助かる


「あぶないな 一歩 間違えると」


足下の ミンチに なった 死体を

見ながら 言う ニック

夜は 明けつつあり なにか

判別できる


「ひぁ・・・」


アーリントンは ショックを

受ける


「見るな!」


アーリントンに 強く 言う

ニック

黙々と 山を 下る


「よし 町だ もう少し」


青く 染まる 町が 見える


「おい まだ 見つからねえのか

ドーゾー」


声が 聞こえて 身を ひそめる

ニックと アーリントン

進む先に 人影が ある


「ここからは 無理か

迂回しよう」


小声で 話す ニック


「うん」


ニックの 肩に 顔を あずける

アーリントン


「よし ここは 誰も いない」


崖を 下る ルートには

幸い 人影は ない


「ここにも フェンスが・・・

川まで 高いな」


川沿いに 高い フェンスが

張り巡らして あり その上から

河川敷に 飛び おりると

命の 危険が ありそうだ


「向こうに 行ってみよう」


川の 上流 北へ 行こうとする

ニック


「あっちまで 行っても 変わらないよ」


アーリントンが 止める


「どういう事だい??」


問いかける ニック


「橋が 2本と 狭い山道1ヶ所しか

このエリアの 出口が ないの

あたしたち ここに 半年間も 閉じ込め

られて いるの」


くわしい 説明を してくれる 優秀な

アーリントン


「なんて 事だ・・・」


学生が こんな ところに 半年も

いる 事に 衝撃を 受ける

ニック


「どうにかして 脱出しよう」


腕組みし 解決策を 模索する ニック


「でも どうするの??」


あきらめている アーリントン


「そうだな うーん」


考えこむ ニック


「あっ あれだ

サンモルトの 敷地内に 行けば

そっから 先は フェンスが ない

んじゃ」


よい アイデアを 思いついたと

鼻息が 荒くなる ニック


「でも 厳重な セキュリティが」


アーリントンが それも ダメだと

言おうと した時


「シッ

誰か 来た」


アーリントンを 抱きかかえ

物陰に 身を かくす

そして 様子を 見ていると 女が 周囲を

警戒しながら こっちへ来る


「ネイス!!」


よく見ると ネイスだ

よろつきながら 近付いて来た


「よかった 無事なのね」


笑顔を 見せる ネイス


「あれ この子 アーリントンじゃないの

どうして ニックと 一緒に いるの??」


不思議そうに アーリントンを 見る

ネイス


「いや」


「デートしてるのよ

ねー ニック」


ニックの 言葉に かぶせるように 言う

アーリントン

そう言うと ニックの 頬に キスをする


「なっ なにを」


めちゃくちゃ ビックリする

ニック

アーリントンの 顔を まじまじと

見つめる


「・・・これで 外に 出られるでしょ」


耳打ちする アーリントン


「あっ そういう事か」


やっと 事態を 理解するニック

警察署は エリアの外だから

逮捕され ここから 出る事は 出来る


「なッ」


絶句し みるみる顔色が 悪くなる ネイス


「よかったわね ニック

このエリアは 合衆国の法が およばない

ところなの

つまり あなたと アーリントンが

シても 罪に 問いようがない」


ものすごい 嫉妬心で まくしたてる

ように 言う ネイス


「いや シてねえし

なぁ」


あたふたする ニック


「ウフフ」


意味深な 笑みを うかべる

アーリントン


「いや ウフフじゃねえ

ホントだよ 信じてくれ」


ネイスに しがみつき 潔白を 訴える

ニック


「本来なら わたしと・・・

イヤ なんでもないわ」


言いよどむ ネイス


「え おぼえてたんだ

よかった」


てっきり 忘れられた 約束かと

思っていたから うれしい ニック


「でも ニックが みさかいなく シてる

なんてね わたしも 見る目ないわね」


苦笑いしながら はき捨てるように言う

ネイス


「ホント シてないんだって」


とにかく必死な ニック


「ホントにー??」


これ 以上 イジったら かわいそうだと

思い はじめる ネイス


「うん ホントホント」


頭を オモチャみたいに 縦に

動かす ニック


「じゃあ 今回だけ 信用して

みるわ」


そう言って 濃厚な キスを する


「ありがとうーッ」


ギュッと 抱きしめる


「チェッ

つまんないの~」


ほっぺたを 膨らます

アーリントン


「えっ・・・」


アーリントンを 見る 二人


「あたし ニック 好きだよ」

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