第10話

やっとの 思いで ロッジ風の山小屋に

到着する ニック


「ップ なんとか 耐えたぜ」


這う這うの程で 車外へと 飛び出て

うつぶせに 倒れこむ

ニック


「おい 休憩は まだ早ええぞ」


ニヤニヤしながら 男が言う


「まあ 日没まで まだ 時間が

ある そっとしてやれ」


別の 男が その男を 制する


「あーあ ヤレヤレだぜ

クソ忙しいのに クソったれの

オモリまで するんでちゅか~」


赤ちゃん 言葉で 挑発する

浅黒い男


「やめないか

使い方に よっては 盾にでも なるさ」


別に ニックを フォローしていたワケ

では ないようだ


「へいへい」


おどける 浅黒い男

さっきまで 銃弾の嵐を ぬけて

来たとは 思えないほど 陽気だ


「あいつに感謝しな」


テンション高く ニックの

顔に 顔を よせる 浅黒い男


「・・・ップ」


一瞬 キスされるかもと思い

えずく ニック


「さて オレたちは 設置した

ワナの 点検と 夜間の 役割決め

そして 日勤と バトンタッチだ」


男が 日常の 業務のように 言う


「はいはーい」


浅黒い男は まだ テンションが高い


「よし 行こう」


リーダー風の男が 手を 2回叩き

送り出す


「ニック君 キミは 山小屋の中に

入って おいてくれ

外は 我々が 仕掛けた ワナ だらけ

なんで 勝手に 出歩かない 事だよ

わかったね」


リーダー風の男が 説明する


「山小屋の・・・」


ニックは まだ 気分が 悪く まともに

しゃべれない


「うん??

なんだね」


優しく 傾聴する リーダー風の男


「山小屋の 中は 安全か??」


こんな 辺境の地で みすみす 死にたく

はない ニック


「イイ質問だね

山小屋の 中には トラップを

設置して いない

もう そんな状態に なった時は

手遅れだろ

だから もし 我々3人以外の 人間が

山小屋に 入って 来たら 無条件で

射殺すること

それだけは 約束して 欲しい」


無茶苦茶な話しだ 普通なら

無条件で 射殺しろなんて

言う はずがない

ニックは 寒気が する


「・・・なんか よく わからんけど

わかった」


リーダー風の 男の 気迫みたいな

ものに 押され 納得せざるを

得ない ニック


「よし キミは 決して バカでは ない」


リーダー風の男は ニックを みとめる


「いや オレは 大バカだ

女の為とは いえ こんな山奥で」


半ベソの ニック

ロサンゼルスが 恋しい


「大丈夫だ とにかく 生き残ることに

集中しろ キミなら 出来る」


どうも 脳筋臭が する

リーダー風の男


「でも 丸腰で なにをすれば

イイんだ・・・」


拉致された時に 銃を 奪われている

ニック


「これを あげる

何度も オレの 命を 救って 来た相棒だ

この銃を 持っていると

不思議と チカラが 湧いて 来るんだ」


リーダー風の男が ホルスターから

銃を 抜き そのグロックを

ニックに 手渡す


「そんな 大切な モノ いらねえよ

どうせ めっちゃ 血を 吸ってるんだろ」


遠慮する ニック


「ああ たっぷり吸ってる

これしか 渡せないんだ すまんね」


申し訳なさそうな顔を する

リーダー風の男


「お前 この銃口が 自分に 向くとは

思わないのか」


駄々っ子のような 事を言う

ニック


「ニック君 キミは そんな

バカでは ないだろう」


リーダー風の男が 高笑いする


「なぜ そう思った」


話しやすさから 疑問を ぶつける

ニック


「バカなら 車が 止まった時点で

走って 逃げている

この前も それで 1名 死んでいる」


冷静に とんでもない事を

口走る リーダー風の男


「射殺したのか??」


いきなり 怖くなり 聞く


「イヤ そんな事は しない

ワナに ハマって 手榴弾で ドン

即死だった」


遠くを 見るような

リーダー風の男


「・・・グロいな」


聞いた事を ひどく後悔する

ニック


「警告は した

うかつに 動くなと」


自分を 正当化する

リーダー風の男


「なんとも 思わないのか??」


少し 怒りが こみあげる

ニック


「残念だ」


あくまでも 冷静な

リーダー風の男


「それだけか」


つい 口調が 荒くなる

ニック


「オレも ここの生活が 長い

ある意味 スレたって事かもな」


半笑いで 肩を すくめる

リーダー風の男


「そういうもんかよ」


あきれる ニック


「キミも ここに いれば じきに

そうなる」


ニヤけながら 語る

リーダー風の男


「オレは オレだ 変わらねえ」


くってかかる

ニック


「たのもしいな

頑張れよ カウボウイ」


そう言うと 森の中へ

消えて 行く リーダー風の男


「・・・」


ボーッと 見つめる

ニック


ガチャ


「山小屋の 中は 安全って 言ってたな」


とりあえず 山小屋に 入って みる

ニック


「あの タブレットが 監視用か」


机の 上に タブレットが あって

電源が 入っている


「ああ 右上の 画面が そうだ」


右上に この部屋の様子が

表示されて いる

思わず 手を ふる ニック


「・・ェ・ェ・ァ」


タブレットから なにか

聞こえる


「なんだろ 誰か しゃべっている」


タブレットの ボリュームを あげてみる

ニック


「おい ポテトが 見えねえじゃねえか

どけよ」


「邪魔すんな 誰だよ テメぇはよ」


複数の 声や 変な 音声 音楽が

聞こえて来る


「ああ 悪かったな」


ニックは また 気分が 悪くなる


「クソがクソが 今夜 寝れると

思うな」


「なんとか 言ってみ・・ェ・ェ・・・」


ボリュームを もとの位置まで 下げる

ニック


「なるほど ボリュームを 下げて

いるのは やかましいからか」


真っ二つに 割りたい 衝動を おさえる

ニック


カチャ


「誰だ」


素早く 振り返り 銃を 向ける


「オレだよ もう顔を 忘れちゃったの

かよ」


リーダー風の男が 両手を上げて

立っている


「すまない 神経が 高ぶって」


銃を 下げる ニック


「それ ボリューム あげない 方が

イイよ」


ニヤリと 笑う リーダー風の男


「いや 先に言ってよ」

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