【完結】私に全く興味なんてなさそうだったから悔しくてただデレさせようとしてただけなのに、いつの間にか私の方がデレていたなんて
月那
第1話 始まりは突然
「三条さん、おはよう」
「おはよう」
「三条先輩、おはようございます」
「はい、おはよう」
ふふ…今日も朝から、みんなが私を羨望の眼差しで見ている
そう満足する私は
「あら、三条さん、おはよう」
「四方堂先輩、おはようございます」
校門の所で生徒達に挨拶しているこの人は、三年生の
「相変わらずね」
「何がです?」
「いえ、なんでもないわ」
涼しそうな顔で溜息混じりに言ってくるけど、どこか私のことを見抜いているような、見透かされてるというか、そういうところが少し苦手だけど、私から見てもこの人は確かに美人だ。
ふふ、説明しよう。
星和学園四天王とは、学園内で誰もが知る美人4人のことで、この人は凛とした佇まいで近寄りにくそうな反面、ふと見せる優しい眼差しに射抜かれる者が続出する、定番の清楚系お姉さんキャラ。
そして男子だけじゃなく、女子すらもその虜にさせている強敵なのだ
「あら、如月くん、おはよう」
「あ…はい」
「如月くん?おはようと言われたら?」
「…おはようございます」
「ふふ、そうね」
四方堂先輩に言われ、渋々挨拶しているこの男は
私と同じクラスで私の席の隣の男
「あなた達、同じクラスだったわよね?」
「はい、そうです。如月くん、一緒に教室まで行こっか」
「いや、いい…」
「くっ…!」
四方堂先輩も少し呆れた感じで見てるけど、この男はいつもそうなのだ。
挨拶しても「ん…」とかしか言わないし、私が話しかけても素っ気ないし、一言で言うと暗い。うん。間違いなくボッチだろう
「ほら、そんなこと言わないで、ね?」
「………」
「っ!…じゃ、じゃあ、先輩、また」
「ええ…」
む~…先輩の手前ああは言ったけど、この男のことは正直どうでもいい。
見た目も普通だし、むしろ少し長めの髪が野暮ったく見えるし、メガネだし、教室でいつも本読んでるし、ああ!なんで私が構ってるのよ!
いや、別に好きとか本当にないの。
ただ、私の四天王としてのプライドが許さないだけ。みんなと同じように「はぁ…」ってなってくれればそれでいい
…そうよ、私も、この学園内で四天王と呼ばれるうちの一人なの…ふふふ…
だから悔しい。今までこんな経験なかった
中学の時も、小学校の頃も、幼稚園の時だって、いつだって私が笑顔で話しかければ、老若男女、みんな虜になってチヤホヤしてくれてたのに…!
こんな可愛い子に「ね?」とか言われて、なんで靡かないかなぁ
「もう、そんな照れなくてもいいんだよ?」
どうだ。ちょっと悪戯っぽく上目遣いで言ってやった。ほら、ドキっとしたでしょ?
「…照れてない。大丈夫」
「な…」
表情も変えず、スンってなってそのまま歩いて行く如月
こいつ、もしかして、女に興味がないの?
いや、そんなことはないはず。
だっていつもラノベ読んでて、たまにニヤってなってるの、私、知ってるんだから。
じゃあ、二次元派ってこと?
くそう…それだと手強いな…
そんなことばかり考えていたからか、周りを見れてなくて気が付いた時には、もう目の前に柱があって、「あ、これぶつかるやつだ」と逆に冷静になりかけたその時、左腕をグッと掴まれて体を持っていかれると、次の瞬間には誰かの腕の中に私はいた
(え?は?なに?どうなってるの?)
微かにシトラス系の香りがして、私はバッと顔を上げ見上げると、
「…よそ見してるからだよ」
「へ…」
トクン…
あれ…なにこれ…
私、なんで胸がキュンってなってるの?
「ほら、気をつけなよ」
そう言って、無造作に私の体を引き離す
「あ…あ、ありがと…」
「じゃ…」
如月はそのままいつもの感じで、一人で歩いて行く。その後ろ姿はどこにでもいる、ちょっと冴えない男子そのもの
でも、見てしまった
たぶん助けようとして焦ってたんだろうけど、私が柱にぶつからなくてホッとしたっていう、メガネの奥にある優しい眼差しを。
そして、咄嗟に腕を掴まれた時に感じた、男の子らしい如月の力強さ…
いや、違う
うん。これは事故よ
そうそう、ただのアクシデント
ちょっとビックリして、ドキっとしちゃっただけよ。そうに決まってるんだから
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