第41話 彼の告白


「ごめん…ちょっとだけいい?」

「う、うん…」


 でも、このままここで話すのもどうかと思ったので、結局私達は学校を出て、駅に向かって歩いて行く


「あの…話…っていうのは…?」


 ついさっきあんなことがあったばかりなのに、いったい何を…


「さっき、二宮さんに…その…」

「う、うん…分かるから、それは言わなくてもいいよ…」

「うん…。それで、その後に言われて…」

「何を言われたの?」

「四方堂先輩にも言われたけどね…」


 ん?二宮と先輩に同じことを言われた、

 ってこと?


「うん…」

「一番は誰なの?って」

「え…一番…?」

「伊織さんも、一之瀬さんも二宮さんも、みんな友達だと思ってた」

「そうなんだ…」


 引っ越して来てから、中学時代もほとんどずっと一人だった彼にとって、私達は初めてできた友達らしい。

 そんな颯馬くんは、私達が異性だったからとかは関係なく、誰に対しても同じように接してたつもりだと言う。けど、


「でもみんな…女の子だもんね。しかも…」


 しかも私達は、学園では有名な美少女4人


「うん…私達は…」

「だから…これは違うんだ、って。勘違いするな、って、ずっと言い聞かせてたんだ」

「それは…」


 それは…颯馬くんのことを好きだってことを、ってことだよね…?


「でも、今日二宮さんに、その…告白してもらって…それで…」

「うん…」

「でも、前にも言ったけど、二宮さんのことは本当に、妹みたいに思ってたんだ。だからそういう目で見てなかったし、今言ったこともあるし…それで、大事な友達だと思ってるって答えたんだ」

「そう…」

「その時ね…伊織さんや一之瀬さんのことも聞かれて…」

「何て聞かれたの?」

「「みんな友達と思ってるんですか?」って聞かれたよ」

「それで…?」


 これは…私も気になる…


「そう思ってるよ、って」


 ガックリ…


「そしたらね、誰が一番大事なんですか?って言われて…」

「さっきもそう言ってたね」

「うん…」


 颯馬くんは空を見るように、斜め上の方に顔を少しだけ上げて、


「この前お姉ちゃんに言われた。「誰が一番好きなの?」って」


 せ、先輩…流石です…


「それで…?」

「その時は分からなかった。というか、たぶん考えないようにしてたんだと思う。でも、さっき二宮さんにも似たようなこと言われて、分かった…と思う…」


 ん?なんだか急に歯切れが悪くなったわね


「分かった…っていうのは?」

「その…たぶん…いや、あの時、ほら、初めて一緒にお昼ごはん食べた時…」

「うん…あの時、何かあった?」

「あの時…あの…その……」


 相変わらず視線はこっちに向いてないけど、顔は真っ赤になっている


「たぶんあの時にはもう、好きになってたんだと思う…」

「え…」


 嘘でしょ…


 そんなの絶対嘘でしょ!

 そんな素振り全然なかったじゃない!


「ご、ごめん…」

「ど、どうして謝るのよ…」


 嬉しいのに…めちゃくちゃ嬉しいのに、どうして素っ気なく言っちゃうのよ…もう…


「だって…あんなふうに誰かと一緒に…しかも綺麗な子と一緒にごはんなんて食べたことなかったし…」


 今、さりげに「綺麗な」って言ったね?

 ふ…ふふふ…


 ちょっとニヤけそうになったけど、私は何も言わず、彼の横顔を眺めていた


「…それだけで好きになるとか、そんなの…そんなのチョロい男だよね…ごめん…」



 チョロい男…


 そしてチョロい女…



 私達…似たもの同士だったんだ…





 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 次話が最終話となります。

 あと少しだけお付き合い下さいm(*_ _)m




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