第23話 陰陽師は不動金縛りを会得する
昼休み、きのう手に入れた『これで君も陰陽師』という本を読む。
読んだ後にカタログスペック100%しておく。
本に書いてあることを実践しようとしてたところ、今度は
ソフトボール部のキャプテンだ。
小麦色に焼けた肌が黒ギャルを思わせるが、ちょっと獰猛な雰囲気がある。
キャピキャピした雰囲気とは無縁だ。
「ちょっと付き合え」
顎をしゃくられた。
「ちょっと、
一緒に飯を食っていた
「ちょうど良い。お前らも来いよ」
俺と
着いたのは畳のある武道場。
「ここで俺は何をしたら良いんだ」
「立ち会ってもらいたい」
「へぇ何で?」
「真中ふびと知っているか。動画を見たが、あれは達人だ。
くそう、クラス女子にばれる率が高すぎる。
「何で分かった?」
「足運びでだ。それと体つき」
「分かった、やろう」
異世界では
構えも堂に入っている
「じゃあ始め」
「きぇーい」
腕をつかみ少し引く。
バランスが崩れたところを投げる。
「どう?」
「参りました」
「見たところ空手家だと思うけど、俺のはどっちかというと鎧組討術」
「関係ない。弟子にしてくれ」
「何か事情があるのかな?」
「お祖父さんがやっている家の道場を継ぎたいんだ。今時道場破りは来ないけど、もしもの時がある。他流の技も身につけたい」
「分かったよ。正体を秘密にしてくれれば、組手ぐらいは付き合う。型も教えられると思う」
「もう、この女たらしさん」
「私、いい考えが」
「言ってみろ」
「
「却下だ。良くない輩が寄って来るに決まっている」
「ふーん、彼氏気取り」
「
「私も、美貌で生徒を募るのはちょっと」
「ほら、
「でも、ふびと様が師範代になってくれたら♡」
「ここにもふびとのファンが」
「油断も隙もないわね」
武道場に
「誰が死合っていると思えば、乳繰り合っていただけか」
「よせ」
俺は
そう言えばこついは異世界で前衛職だったな。
何かやっているのだろうな。
「お前が代わりにやるか。よう、
異世界ではこいつもぶっ殺したな。
俺の中ではそれでチャラになっている。
だが、よく考えたら、恨みはあるな。
この世界の俺が虐められた。
「御託は良い掛かってこい」
俺は指を上に向けてくいくいっと動かした。
「いじめられっ子の癖して」
だが、他の仲間がやられたことを聞いていたのだろう。
慎重に間合いを計っている。
「いいから掛かってこい」
シュッシュツと呼気を吐いて、
ボクシングの系統か。
そう思ってパンチを手で捌いたら、ローキックが飛んできた。
俺はローキックを華麗にかわした。
どうやらキックボクサーのようだ。
「お前、名前は何だっけ?」
「馬鹿にしているのか。
「カタログスペック100%。
陰陽師の物語の一節を握って、スキルを掛けた。
それには名を聞いて動きを縛った話が載っている。
一度やってみたかったのだ。
「何で動けない。こん畜生」
俺は
体が動かないので、受け身が取れないから、そうとう痛いだろう。
念のため、5センチぐらいの小瓶に入れてあるネクターポーションを掛けた。
「凄い。不動金縛りって奴」
感心した様子の
「まあね。似たようなものだよ」
「それも教えてくれる?」
「ちょっと待って」
不動金縛りで検索を掛ける。
ああ、手印と呪文でできるか。
カタログスペック100%で
滝行や荒行をすれば良いだけだし。
「そのうち教えてやるよ」
「期待している♡。手取り足取りね♡」
「ねぇ、私にも教えて♡。秘密の手ほどき♡」
「私も♡。付きっきりでね♡」
「全員一緒だ」
はたから聞いていると、4Pプレイ宣言みたいだな。
いや護身術の教授だって。
信じてくれ。
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