第13話 元カノは推しを見つける

Side:横瀬


 隣のクラスが騒がしい。

 見に行くと、美少女が二人。

 転校生かな。

 あんな子がいたら目立つもんね。

 元彼の波久礼はぐれとベタベタしている。

 なんであんな冴えない奴と。


「ねぇ、あの二人は?」


 私は少し話したことのある生徒に話し掛けた。


御花畑おはなばたけさんと小前田おまえださんのこと?」

「ええとその名前は聞いたことがある。あんなに美少女じゃなかったはずだけど」

「今日登校してきたら、美人になってた」


 整形でもしたのかな。

 そうとうお金を使ったのに違いない。


「他には?」

「芸能界デビューするらしいよ」

「それは何となく分かる。美しさのレベルが違うから、正直負けた気分」


 それにしても、波久礼はぐれにどんな価値があると言うのかしら。

 もしかして、二人の整形費用を彼が出したんじゃ。

 私も整形してもらってから別れるんだった。


 昼休みも気になって隣のクラスを覗いた。

 波久礼はぐれが男子生徒に連れられて歩いて行く。

 あとをつけた。

 辿り着いたのは体育館裏。


 決闘が始まった。

 相手は竹刀を持っているのに、軽々と投げ飛ばしてしまった。

 彼、あんなに強かったのね。

 知らなかった。

 虐められていたから、弱いとばかり思ってた。


 何か裏がありそう。

 虐めを苦に自殺未遂したのよね。

 それで虐めてた相手を訴えて多額の賠償金を得た。

 自殺未遂が狂言だったとしたら。

 ううん、波久礼はぐれは悪いことしそうな感じじゃなかったわ。

 気の弱い普通のオタクよ。


 謎よね。

 調査が必要だわ。


「これみて、凄いわよ」


 友達から動画を見せられた。

 物凄いイケメンがヤクザを叩きのめしている。


「本物の戦いなら確かに凄いわね。ドラマでも迫真の演技だわ」

「この人は真中ふびとさん。モデルやってて、この街に住んでいるらしいの」

「じゃあ、見かけることもあるかもね」


 真中ふびとさんか。

 いいえ、ふびと様。

 ファンになっちゃったみたい。


「他にも動画があるのよ。本人はあんまり映ってないけど、声が聞けるわ」


 幽霊退治の動画を見せられた。

 とっても良くできている。

 事務所はそうとうお金を使っているのかもね。

 有望株と見られているのかも。

 霊感を売りにして売り出すつもりなのかな。

 声がとても良い。


「声が素敵ね」

「そうなのよ。愛してるとか囁いてほしい」


「音声データ希望って、コメントに書き込みましょうか」

「みんなでやりましょう。ファンクラブを作るのよ」


「いいわね。ぜひ」


 ファンクラブを作ることになった。

 早くグッズとか販売してくれないかな。


 ヤクザとの乱闘のシーンを何度も見る。

 あれっ。

 一瞬、ふびと様と波久礼はぐれの投げる様子が重なった。

 そんな馬鹿な。


 公式プロフィールから身長体重の欄をみる。

 波久礼はぐれとは体重が違う。

 でも身長はぴったり同じ。

 偶然かしら。

 そうね、同じ身長ってだけでは。

 もっと情報がないのかしら。


 血液型は一緒。

 まさか、そんなことはないわよね。


 誕生日が違う。

 良かった、別人だわ。


「ふびと様は、グリプロ所属よね。事務所を今度張り込んでみない?」


 そう私が提案する。


「駄目よ。ブラックリストに入れられちゃうわ」

「偶然、街で見つけるしかないのね」


 みんなでバラバラになって、パトロールすることにした。

 陰陽師の本を幾つか読んでみた。

 占いとか呪いとかをやっていた人達なのね。

 死後は専門外らしい。

 ふびと様は幽霊退治しているけど。

 歴史的にはお坊さんとの境界があいまいだった時期もあるのね。

 なっとく。

 私的には、縁結びの護符に興味をそそられたわ。


 ふびと様は恋愛相談とかしてくれないかな。

 もっとも、ふびと様に付き合いたいですっていうファンの子ばかりになると思う。

 私だってそうするわ。


 とにかく、放課後街をパトロールよ。

 放課後になり、パトロールのついでに波久礼はぐれのあとをつけることにした。

 家に帰るみたい。

 家の中に入り、しばらくして出てきた。

 あれっ、別人だわ。

 マスクとサングラスで顔を隠していたけど、雰囲気が違うような気がする。

 それから、30分ぐらい待ったけど、彼は出て来なかった。

 今日はもう出かけないのかも。

 街のパトロールに戻りましょう。

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