第52話 スケルトン発生

 46箇所のスケルトン発生。

 今回は自信がある。

 スケルトン被害者の会にスケルトン撃退グッズを持たせてたのだ。


 やはり発生は昼間だった。

 鳴り響く警報。

 パトカーのサイレン。

 よしきた。


 ライブ配信スタートだ。


「俺が予測した通りスケルトンが発生したようです」


『良い声』

『素敵』

『結婚して』


 腕に付けたタブレットでコメントを見る。

 やっぱり登録者数が少なくなってもアンチは要らない。

 賞賛だけ浴びて悦に入るつもりはないが、雰囲気が悪いのは見ている人にもストレスだ。

 楽しい感覚だけを共有して貰いたい。


「おっと、スケルトンだ。お巡りさんご苦労様です。カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 タブレットの画面は怪異退散の説明書きだ。

 スキルと共に早九字を切って、スケルトンを討伐する。


『やっぱり、ふびと様は最強』

『痺れるぅ』

『私と縁結びのおまじないしてぇ♡』


「あなたの銀の弾丸には助けられています。警察はあなたの味方です」

「婦警さんに感謝されてしまったよ」

「サインして下さい」

「この事件が終わったらサインしてあげるよ。じゃまたね」


 そう言ってウインクして去る。


『颯爽と去る姿も美しい』

『ウインクで失神しそうになった』

『きゃー、素敵』

『サイン欲しい』


「動画を拡散してくれたら、サインを送るよ。ちなみに住所は占いで探すから、報せなくってもいいよ」

『さすが、ふびと様。みんなお見通し』

『拡散して、待ってる』

『愛してるって書いてね』


「おっと、またスケルトンだ。カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 スケルトンは護摩の灰を掛けられて消えていった。

 呪いに侵された人達がいる。

 形代をこすりつけて呪いを移す。


「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 形代を燃やした。

 形代が光に包まれ灰になる。


 名前と生年月日を書かなかったから効果が薄いようだ。

 黒い痣は薄くなったが、まだこびりつくように存在してる。

 今は応急処置だけで良いか。


『黒いのが薄くなった。ふびと様最高』

『ふびと様以外の霊能力者はなにしてるの』


「彼等は祈祷で忙しいらしい。この前資料課で聞いた。彼らも頑張ってはいるんだ。軽蔑しないでほしい」

『うん、霊能力者も応援する』

『そうなんだ。霊能力者ってふびと様以外にもいるんだ』


「エセも多いから気をつけてね」

『大丈夫。ふびと様以外は信じないから』

『それはデフォね』

『うんうん』


「さて、次に行くよ」


 次の現場ではスケルトンは倒されていた。

 祓詞と護摩の灰と銀の銃弾の合わせ技は強力らしい。


「ご苦労様」

「僕も活躍したんだ。褒めて」


 この子はスケルトン被害者の会の子だ。

 見たことがある。

 頭を撫でてやる。


「祓詞は強力ですね。スケルトンの動きが鈍って助かりました」


 と警察官。


「協力できて幸いです」

『謙虚なふびと様も素敵』

『ふびと様はどこをとっても素敵』


 それから行った現場はスケルトン被害者の会と警察によって収拾されていた。

 被害者の数も少なかった。

 形代に呪いを移して、お焚き上げをした。


「今日の配信はこれで終り」

『えー、もう終わっちゃうの』

『次の配信を待ってる』

『またね』

『久しぶりにふびと様の活躍が見れて良かったです』

『感動した』


 配信を終えた。

 SNSを見ると閲覧数が上がっている。

 それとスケルトンの発生場所を予知した動画の再生回数の上りが良い。


 頑張って下さいとのコメントが多数寄せられている。

 アンチコメントはゼロだ。

 縁切りしたからね。


 スケルトン発生場所的中とSNSで発信する。

 瞬く間に拡散されて、評判が上がっていく。

 アンチの縁切りは1時間ごとにやっている。


 サイン色紙を送らないと。

 こっくりさん、いわゆるテーブル・ターニングをして名前と住所のリストを作成する。

 感謝の念を込めて、色紙の護符の文様にカタログスペック100%する。

 1枚1枚でなくいっぺんにできるのが良い。


 スタッフにリストと色紙を渡して、発送してもらった。

 邪神の眷属の居場所をこっくりさんで占ったが、ピクリとも動かなかった。

 やっぱり妨害されているな。


 俺は今回の配信で手ごたえを得た。

 アンチ撲滅すべし、拡散してくれるファンには手厚く。

 これを続ければどんどんと伸びるだろう。

 第二弾は、災いを遠ざける石かな。

 安いのだから、ファンにはバンバン送ろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る