第31話 陰陽師は占う

 通販をやることにした。

 真中ふびとオンラインショップ。

 とりあえずの販売品目は、恋愛運アップのパワーストーンに術を掛けたもの。

 それと災難除けの天眼石。

 こちらも同様に術を掛けてある。


 ネクターポーションは100万円まで価格を下げて販売することにした。


 オンラインショップのホームページやスタッフは事務所が全て用意。

 もちろん何割かの利益を持っていかれる。

 仕方ないよな。

 会社経営している暇などない。


 ネクターポーションは千本用意してたが、10秒で売り切れた。

 稲荷山商事と警察に売ることを伝えたからな。

 客もその二つが占めるのだろう。


 チャンネル登録者数は2,844人。

 そう総動画再生回数は55万を超えた。


「今日は怖くないわよね」

「幽霊ならパス」


 放課後、御花畑おはなばたけ小前田おまえだとカメラマンに集まってもらった。

 配信に女の子がいると盛り上がると思ったのだ。


 俺は陰陽師の恰好で、二人は可愛くばっちりきめている。

 もちろんメイクもしている。


「今日、集まってもらったのは、占いするためだ」

「へぇ、面白そう」

「占い好き。何を占うの?」


「スケルトンの出現場所を占う」


 そう言って俺が取り出したのは鎖に重りの付いたペンデュラムチェーン。

 ダウジングの本でカタログスペック100%してある。


「まあそれなら」

「骨なら許せるかな」


 それを両手に持って出発だ。

 重りが、ある方向を指し示す。


「さっそく反応があったみたいだ」


 俺がコメントを言う。


「埋蔵金だったりして」

「運命の出会いとかなら嬉しいな」


 二人も気軽に口を挟んだ。

 その方向に歩いていくと、重りがクルクル回った。


「どうやらここがスケルトンの出現場所のようだ。俺の力では封印出来ないから、警察に通報しておくよ」

「きゃー、恐い。ここに化け物が出現するのね。場所を覚えておかないと」

「日時は占えないの?」


 小前田おまえだから問われた。


 スマホで検索する。

 誕生日と名前を入れると、注意日が出るサイトがあるな。

 こいつを使わせてもらおう。


「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」



 俺はホームページにスキルを掛けた。

 サイトには3日後が要注意と出ている。


「たぶん、3日後だ」

「じゃあ、その日は外出しない」

「私も」


 どうやらスケルトンの出現場所はひとつじゃないらしい。

 前は4箇所だったが、今回は多いみたいだ。


 場所は42箇所にも及んだ。

 全てこの街周辺だ。


 俺を狙ってきているのだろう。

 そんな気がする。


 気休めに出現場所すべてで『カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・封』とやってみたが、はたして効果があるのだろうか。


「いっぱい歩いて疲れちゃった」

「私も」


「靴を買ってからやるべきだったな」


 異世界でのひとコマを思い出した。

 歩き疲れて文句を言われたっけ。

 懐かしい。


 スマホで靴を検索する。

 快足スニーカーなるブランドで、『羽が生えたような気分、無重力歩行をお楽しみください』とのキャッチが目に入った。

 これを買って帰ろう。


「靴を買ってやるよ」

「嬉しいな」

「プレゼントは常にウェルカム」


「カメラマンさんもどう?」

「俺も良いのか?」

「もちろん」


 4人で大きい靴屋にいって、スキルを掛けた靴を履く。

 本当に軽くなった。

 無重力歩行は伊達じゃないな。


「うわっ、力を入れてないのにスキップして歩いているみたい」

「それにこのフィット感」


 チラシに抜群のフィット感と書いてあったからな。

 蒸れない通気性とかもな。

 そりゃ快適だろう。


「私、このメーカーしか履かない」

「私も」

「俺もです」


 大好評だ。

 あとでこのメーカーとコラボ商品とか出したいな。

 もちろん数限定でスキルを掛けた奴を高値で売る。

 10万円でもこの履き心地なら買うだろう。


 そういう意味だとあらゆる商品でコラボが成り立つな。

 手始めにやるなら化粧品辺りか。

 美肌の湯とかもあるな。

 それにスキルを掛けたら、面白い化粧品が作れるかも。

 だが、手あたり次第やると収拾がつかなくなる。


 あとで事務所のスタッフと相談してみよう。

 転売だとコラボの許可が要らないが、なんとなく罪悪感がある。


 どうせやるなら、陰陽師真中ふびと監修、五行パワー商品としたい。

 数限定なら特別感もある。


 そして、性能がとびきりなら言うことはないはず。

 とりあえず提案書だけを書いてみよう。

 コラボ商品だすならもっと有名にならないと。

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