第41話 勇者は励まされる
やる事がないので、ネットで検索をしたりして時間を潰した。
俺は
見物人がドラマの撮影を見守っている。
お目当ての人気俳優が姿を現すと、見物人がどっと沸いた。
スタッフが見物人を黙らせ、撮影が始まる。
俺は遠くから
いた、彼女だ。
ただの通行人、それが彼女の役だ。
彼女の出番はあっという間に終わった。
芸能界デビューできてよかったな。
俺は嬉しくなった。
話をしないで去ろう。
そう思ったらスタッフが立ち塞がった。
「
「そうだけど」
「
手紙には『がんば!!』とだけ書かれていた。
お前こそ頑張れよ。
まだスタートラインだろうが。
見分けがつかないような女の子たちが踊って歌う。
観客は少ない。
昼間だものな。
俺は後ろの方に立ってみていた。
やはり歌って踊るが、俺の目から見てもヒットしそうにない。
ヒットするのは大変だもの。
曲が終わると、
俺の方を見ていたような気がするのは気のせいだろうか。
いいやきっと俺に言ったに違いない。
別のグループの歌が何曲か終わって、帰ろうとすると、スーツの女の人に呼び止められた。
「
「そうだけど」
ここでもか。
「
「お前もなと言ってたと伝えてくれ」
二人の元気な姿が見れて少し活力が戻った気がする。
彼女達との関係も変わらないのだな。
「おっ、兄ちゃん見学か?」
「お姉ちゃん目当てならやめとけよ」
「そうそう。昼間の先生はお爺ちゃんだから」
「夕方から夜はお姉ちゃんと年少組」
「ちょっと見るだけだよ」
入口から、
ちゃんと先生しているな。
「よう」
俺は何となくバツが悪いなと思った。
「あなた馬鹿ね。なんでマスコミに反論しないの」
「いま色々と考えているんだ」
「いい、やられるだけじゃ駄目。攻撃しないことには勝利はないのよ」
「考えておくよ。ありがと」
そう言って俺はその場を後にした。
残る
ガレージの方に回り、扉を叩いた。
「何だ。
「こんなことになって、どうしたらいいか模索してる」
「ふむ、災難除けの石が役に立たなかったのではあるまいか」
「そうなんだよ」
「ずばり原因は一つだ。
そうか、一連の出来事は邪神が関与しているのか。
だが、おかしい。
とる手段が人間臭い。
邪神が、人の評判を逆手に取った策略をするかな。
しないような気がする。
「敵は邪神の一味だ。たぶん眷属だろう」
「ふむ、強敵だな。思うに
「まあそうだな」
「だが、術の強度は信じている人がどれぐらいいるかで、変わってくるのではないかね」
「俺もそう思う。体の感覚でなんとなくそう感じる。だけど、何でそう思った?」
「神の在り方がそう思わせるのだよ。信じている人が一人でもいれば、力を発揮する。それと信じている人が多ければ多いほど強大になる」
何となく認識はしてたが、信じるということが力になっているのだな。
じゃあ、敵は俺を弱めようと今回のことを画策した。
分かってみればなるほどと思う。
だが、俺にどうしろと言うんだ。
やり直せとでも言うのか。
誰に対して怒りを向けているかさえ分からなくなった。
そうだ、敵は邪神と眷属だ。
世間じゃない。
世間は邪神に惑わされただけだ。
被害者とも言える。
俺は立ち直るべきなのか。
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