第44話 陰陽師は術を授ける
記者会見をテレビでやっているのをホテルの部屋で見た。
スマホに電話が掛かって来る。
番号は
『ついに復活するのね』
『まあな。色々と踏ん切りがついた。もう迷わない。少し時間をくれないか。不動金縛りの術を授ける。他の3人にも声を掛けておいてくれ』
『ありがと、期待しているわ。霊能力者女優として売り出そうかな』
『じゃあまた後で』
電話を切った。
白装束を用意する。
場所と水着を着てくるように指示をするメールを送った。
夕方、滝の所で待つ。
ほどなくして4人が集合した。
「お待たせ」
「ほらほら、水着姿に関して感想は」
でもハイレグの
水着は可愛らしいフリルのついた奴だ。
パレオの付いたビキニの水着を着ている。
腹筋が綺麗に割れているのが目に入った。
見ていて眩しい。
「早く白装束に着替えろよ」
俺は照れ隠しにぶっきらぼうに言った。
「霊能力はちょっと興味があるのだ」
「不動金縛りだったっけ、立ち合いで使ったら反則よね」
「夜になると冷えるぞ。とっととやる」
4人が白装束を着て滝つぼに入った。
「冷たい!」
「うひゃ」
「これは堪らんのだ」
「寒中稽古だと思えば。せいや!」
「真言を唱えろよ」
4人が滝に入り、紫の唇で真言を唱える。
俺は焚火を作って待った。
「よし良いだろう」
修験者となるためのにと書かれた紙をもって。
「カタログスペック100%。これでお前らは修験者だ」
「寒い死にそう」
「ほんと。焚火が体に染みる」
「滝行は初めてなのだ。新鮮な経験なのだ」
「私は寒中水泳にも行ったことがあるから、これぐらいは」
まだ5月だものな。
寒いのは当たり前だ。
4人はそれから着替えた。
俺は後ろを向いていたよ。
振り返ったりはしない。
紳士だからな。
「お待たせ。見た?」
「見ないよ。じゃあ手っ取り早く」
不動金縛りのやり方を書いた紙を持って4人にスキルを掛けた。
4人が光に包まれる。
「「「「臨」」」」
4人は唱えた。
そして、たどたどしく大金剛輪印、外獅子印、内獅子印、外縛印、内縛印、智拳印、日輪印、宝瓶印を結んだ。
「「「「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」」」」
刀印を結んで四縦五横の格子状に線を空中に描く。
内縛印を結び。
「「「「ノウマクサンマンダ・バサラダンセン・ダマカラシャダソワタヤ・ウンタラタカンマン」」」」
剣印を結び。
「「「「オン・キリキリ」」」」
刀印を結び。
「「「「オン・キリキリ」」」」
転法輪印を結び。
「「「「ノウマクサンマンダ・バサラダンセン・ダマカラシャダソワタヤ・ウンタララカンマン」」」」
外五鈷印を結び。
「「「「ノウマクサラバタタ・ギャテイヤクサラバ・ボケイビャクサラバ・タタラセンダ・
マカロシャケンギャキサラバ・ビキナンウンタラタ・カンマン」」」」
諸天救勅印を結び。
「「「「オンキリウンキヤクウン」」」」
最後に、外縛印を結び。
「「「「ノウマクサンマンダ・バサラダンセン・ダマカラシャダソワタヤ・ウンタラタカンマン」」」」
唱え終わったら、魚が浮かび上がってきた。
成功だ。
「これ、緊急の時には役に立たないね。手早くやっても30秒は掛かりそう」
「まあな。でも練習しとけよ。手早くやればやれるほど役に立つ」
「ふむ、私もこれで霊能力の研究がはかどるのだ」
「私も使うところがないかな。アイドルには関係なさそうなんだもん」
「試合には使えないな。これなら殴った方が早い」
「俺達の街はスケルトンが湧くからな。いざという時のためだ。もうひとつ技を教えておくよ。遠当ての術だ。修験者が使えたとの伝説がある。カタログスペック100%」
俺はその伝説が書かれた本を手にスキルを掛けた。
4人が光に包まれる。
「喝と気合を込めて言えば良い」
「喝!!」
樹の枝が揺れて葉っぱを落とす。
「これいいね」
「威力を上げたかったら霊山にハイキングに行くんだな。霊気を吸い取ってパワーアップする。それが修験者だからな」
4人は喝と言いまくって樹を揺らした。
空気砲みたいなものだから、楽しいのだろう。
威力はそんなにないみたいだ。
このぐらいなら俺が覚える必要もない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます