第37話 陰陽師、死す
占いで予言したスケルトンが現れる日が今日だ。
俺は何となく落ち着かない気持ちで授業を受けていた。
突然、街のあちこちで炎と煙が上がるのが見えた。
俺はスマホで検索した。
SNSに動画が公開されている。
それと、炎で倒せるとデマが拡散していた。
授業を受けている場合じゃない。
俺は手を上げた。
「先生、気分が悪くなりました。早退します」
そう言って返事も待たずに、教室を後にした。
学校の校庭を突っ切ると、校門の鉄扉を閉めに掛かる。
重すぎる。
そう思ったら、
鉄の扉は閉まった。
「サンキュウな」
「気をつけて」
心配そうな
「じゃあ行って来る」
親戚の家のガレージに置いておいた陰陽師衣装に着替える。
スクーターのメットインから護摩の灰を取り出した。
占いでは42箇所。
一人で回るには多すぎる。
スマホから音がしてみると、緊急事態宣言が発動されていた。
サイレンも鳴り響いている。
自衛隊が出動しているのかな。
スケルトンはしぶといけど、戦車には敵わないだろう。
俺が出来るのは一つずつ敵を潰すことだ。
スクーターのエンジンを掛けて、ここから一番近い出現場所に急ぐ。
行った先では警官とスケルトンが格闘している。
黒い霧が警官を襲おうとするが、白い光に阻まれた。
きっと、警察に協力している霊能力者が何か対策をしたんだろう。
警官の白い光がどんどん弱くなっていって、最後は霧に飲まれそうになった。
いけない。
護摩の灰をスケルトンに投げつけ。
「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
早九字を切った。
スケルトンが溶けるように消える。
「ご協力感謝します」
警官に敬礼された。
ぼやぼやしてられない。
早く次の現場に行かないと。
スクーターを走らせる。
それにしても
でもあんがい信じているのかもな。
おっと次の現場だ。
通行人の何人かが倒れている。
警官はピストルを構えたまま固まっている。
魔石が落ちている所から察するに、倒したのだな。
そういえば銀の弾丸を渡したな。
あれが効力を発揮したのかも。
現場をいくつか行ったが、どこも警官が既に倒していた。
この分だと俺の出番はないようだ。
火事の方が厄介だな。
デマを流した奴に呪いを掛けてやりたいぐらいだ
雨を呼ぶか、スマホで検索を掛ける。
逆さてるてる坊主が載っていた。
ティッシュで作って、スクーターに吊るす。
他には何かないかな。
スマホで検索すると打ち水をして、龍神に祈るとある。
公園の水道の水で地面を濡らし。
「カタログスペック100%。龍神よ雨を降らせたまえ」
もちろん、手には龍神への祈り方のホームページが写し出されたスマホがある。
突然、黒雲が沸き起こり、ぽつぽつと雨が降り始めた。
俺には雲の中に龍神がいるように思えた。
雷も鳴り始める。
土砂降りになった。
これで火の勢いは弱まるだろう。
ギャラギャラいううるさい騒音が聞こえたので、見ると街中を戦車が走ってた。
おお、自衛隊が来たんだな。
これでもう大丈夫。
俺の出番は本当に終りだな。
犠牲者もこれでなんとかなるだろう。
家に帰ると、警官が黒く染まった形代を持ってきた。
「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
マンションの庭で形代を燃やした。
これで良いはずだ。
俺のスマホに、
『仕事かな?』
『呑気に構えてはだめです。真中ふびとと反社との繋がりを書いた雑誌が発売されました』
絶句した。
事実だから、否定の言葉も出ない。
『分かった。雑誌を読んでみる』
本屋に行って雑誌を購入した。
ネクターポーションの事が書いてある。
別名、甘露を作っている麻薬の元締めだと。
それとインチキ陰陽師だともある。
数々の証拠が載せられている。
どこで調べたのかネットオークションのアカウントも全て載っていた。
そして、真中ふびとの正体が、某T高校に通う男子生徒だとも書いてある。
この付近に頭文字Tの高校は俺が通っている高校しかない。
自殺未遂を起こして、虐めてた主犯格を自殺に追い込んだとも書いてあった。
参った。
お手上げだ。
真中ふびとは死んだ。
もう芸能界復帰は難しい気がする。
芸能界は別にいいが、陰陽師としても死んだのが痛い。
陰陽師活動は出来ないのだろうな。
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