第60話 陰陽師は元カノと決着を着ける

「押さないでって何度言ったら」

「早く外に」


 まだ、他の関係ない人達はもたついていた。

 邪魔だから早く出て行ってほしい。


「俺がペンライトで誘導する」


 ペンライトを持っている奴が誘導し始めた。

 ふぅ、これで関係ない奴はどうにかなるだろう。


 親鼻おやはな樋口ひぐち寄居よりい祖塩そしおの4人が一斉に襲い掛かってきた。

 俺は銀の十字架を手に持って突き出し。


「カタログスペック100%。光あれ」


 十字架から光が迸り4人の顔を焼く。

 4人は光を浴びてのたうち回った。


「許さん」

「何を許さないだって。もう良い死んでおけ。ああ、もう死んでいるのだったな。吸血鬼だからな」


「何でこんなことに」

「死にたくない」

「だから辞めようって」

「呪ってやる」


「はいはい、恨み言はあの世で聞いてやる」


「何で吸血鬼ってばれているのよ」


 横瀬よこぜの唖然とした顔。

 その顔は黒い霧に覆われていた。

 かろうじて目と鼻と口の穴が判別できるだけだ。


「髪の毛を灰になんかするからだ。そんなの吸血鬼に決まっているだろう」

「くっ」


「父と子と聖霊の御名においてアーメン。カタログスペック100%」


 十字架から光が迸り4人の全身を焼く。

 もう4人は動く消し炭だ。


「うぼう、もう辞めて」

「酷いことしないで」

「虐めないで」

「負けんぞ」


「これじゃ俺が虐めてるみたいだな」


 ライブハウスの中は依然としてパニック状態。


 止めをさしてやるか。

 お祈りしながら、聖水を掛けて回った。

 4人は灰になった。


 ほどなくして、ライブハウスにいるのは俺と横瀬よこぜの二人になった。

 横瀬よこぜがガクンガクンと揺れ始めた。

 まるでゾンビがダンスを踊っているようだ。


横瀬よこぜ、お前は酷い奴だった。助ける価値もないが、女の子をスケルトンから助けたことがあったな。あれに免じて出来る限りはしてやる」


 俺は祓詞を流した。

 おれもそれに合わせて祓詞を唱えてながら、清めの塩と、護摩の灰を投げる。

 そして、形代に横瀬よこぜの名前と生年月日を書いて、横瀬よこぜになすり付ける。

 形代は真黒く染まった。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・滅」


 そう言ってライターで形代に火を点けた。


「ウギャャャャ」


 横瀬よこぜから大音量の悲鳴。

 横瀬よこぜは、くたっと崩れ落ちた。


「あれっ、私は何を」


 横瀬よこぜの半身を支えて起こしてやる。


「邪神の手先になって悪事を働いていたんだよ」

「やだ、この黒い手は何?」


 横瀬よこぜの肌は真っ黒に染まっている。


「邪気が奥底まで染み込んでいるな。たぶんどうにもならないだろう。最後に言い残すことはあるか?」

「私、死ぬの」

「運が良ければ生き返れる。神がそれを可能とする」

「やだやだやだ。寒い。痛い。おぞましい。亡者が頭の中に。うがぁぁ。ああああぁぁぁ」


 横瀬よこぜの体が黒い霧になって蒸発していき、最後はガス状の何かになった。


 こいつを倒さないといけないのだな。

 祓詞の音声をありったけMP3プレイヤーで流す。


 複数のMP3プレイヤーの音はまるでコーラスだ。


 横瀬よこぜだったガスが身をよじる。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前・滅」


 ヘアスプレーをガスバーナーにしてガス生物を焼いた。

 ガス生物は段々と小さくなっていき、最後には。


「愛してたのに……」


 最後にそう言って横瀬よこぜは消えた。

 警察にどう言おう。

 寄居よりい達8人の所在と横瀬よこぜの最後。

 仏子ぶしさんの方から上手く言ってくれるのを祈るしかない。

 ライブハウスの床には寄居よりい達の灰がある。

 たぶん人の灰だという痕跡が出るんだろうな。


 神に祈るか。


「邪神の眷属は倒しました、後始末をお願いします」


 外に出ると、外もパニックだった。

 スケルトンが発生して、街は混乱のるつぼ。

 今回は予知できなかったからな。

 不意打ちだからこの事態も仕方ない。

 横瀬よこぜの置き土産というところだろう。

 さて、後始末といくか。

――――――――――――――――――――――――

 まだ、続けるつもりだったんですが、強引に終わらせることにしました。

 とうぶんの間は続きを書く予定はありません。

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異世界帰りの勇者、陰陽師にジョブチェンジする~美声イケメンになって、無双。武道の達人になって、最強。現代にはないポーションを作って、富豪。ついでに、配信者で超有名~ 喰寝丸太 @455834

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