第27話 勇者は祝福してもらう
とうとう少しバズった。
配信始めて8日目での快挙だから、そうとう誇れると思う。
いい気分で学校に行くと、
ついて来いと顎をしゃくられたので、後をついていく。
お決まりの体育館裏に着いたところ、そこには俺を虐めていた奴らが集まっている。
「8人か。随分集めたな」
「今日は道具を用意した」
刃物がないのは殺してしまうからと考えたのか。
「掛かって来い。今日は気分が良いから、けがをさせないように手加減してやる」
古武術にもだいぶ慣れたからな。
凶器の雨をかいくぐり、投げ飛ばして、全員叩きのめした。
髪の毛を採取してビニールでできたカードフォルダーに入れる。
そして、藁人形。
「目を覚ませ」
そう言って、ネクターポーションを掛けて回る。
「くそう。なんで勝てない」
「まだやる気があるな。じゃあこれはどうかな」
俺は藁人形に釘を差し込んだ。
「ぐぎゃあ」
「あがが」
「ぐあっ」
「くそが」
「いたい」
「許して」
「ぐあああ」
「がはぁ」
8人がのたうち回る。
「これに懲りたらおかしな気は出さないことだ」
そう言ってから、俺は教室に戻った。
「おめ」
「おめでとう」
「おめでとう」
「おめでとうなのだ」
登校してきた
「ありがとう。バズったのを見てくれたんだな」
「まあね」
なぜかドヤ顔の
「あっ、動画がアップされている」
俺の顔のアイコンも表示されている。
「不思議なのである。骸骨に何を投げたのかね」
「護摩の灰を投げたんだよ」
「それにしても凄い度胸だな。感心するよ」
「ふむ、護摩の灰を。それは今も持っているのかね」
「サンプルに欲しいって言うんだろ。1瓶持って行けよ」
5センチぐらいのガラス瓶に入ったのを渡した。
教室の扉がガラガラと音を立てて開く。
椅子の座り方からするに、そうとう怒っているな。
しかし、手も足も出ないから、どうにもできないと、いうところだろう。
また歯向かってきたら、藁人形の刑だ。
「さすが、ふびと様ね」
それはさっき俺が
「それは表に出すなよ」
「分かってるって」
「ねぇねぇ、お昼休みに学校を抜け出して、ファミレスいかない?」
悪い奴だな。
学校を抜け出すなんて。
「行く行く。お祝いするんでしょ」
「私ももちろん行くわ」
「参加するのである」
「仕方ないな」
5人で学校近くのファミレスで食事をとる。
「じゃあ、真中ふびとの収益化を祝して乾杯」
「「「「乾杯」」」」
飲み物はもちろんドリンクバーのジュースだ。
「石を配っておく。災難除けの天眼石だ」
「あざーっす」
大げさに
「相談なのだが、科学部に投資してくれないかね」
「何で俺」
「謎の天然水が買いたいのだ」
どれどれ。
ホームページを見るとネクターポーションだった。
「それ俺が出した奴」
「ほう、サンプルを貰えないかね」
俺はナップザックから500ミリペットボトルのネクターポーションを出した。
「数滴でも効果があるらしいぞ」
「ちょっと、それ1千万するやつじゃ!」
「
「うへぇ」
「
「
「ええ、もちろん」
みんなも頷いている。
スケルトンの事件が偶然だとは思えないし、俺のスキルと関係がありそうな気がしてならない。
色恋にうつつを抜かしていると、大変なことになるように思う。
「みんな聞いてくれ。スケルトンの事件はこれからも続くと思う。たぶん世界規模になるんじゃないかな。だから恋は出来ない。問題解決のために力を貸してくれ」
「分かった。それまで抜け駆けは禁止」
「アプローチはありよね」
「それぐらいは」
「ふむ、では。事件解決の時に、誰と付き合うか決めてもらうとしよう」
「もうそれでいいよ」
事件を解決したら、この中の誰かと付き合わないといけないことになった。
そんなことをしている場合じゃないんだけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます